人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ヘンリーの悪行リスト / ジョン・スコット・シェパード

翻訳ものはあまり読まないのだが、ふと魔が差して、しかも長編が読みたくなったのである。

しかし予想してはいたが、やはり言葉に違和感がある。

「本」はあらすじだけでなく、言葉も含めて作品なのだ。

翻訳だとあらすじは伝わるが、言葉としてはいかがなものなのだろうか。

そんな気持ちで読むから気が進まなくなるのだが、あっという間にストーリーに引きずり込まれていた。

アメリカはカンザス州のオーリン・フォールズの貧困地区に生まれたヘンリーは、このような底辺の生活から這い上がることを夢見ていた。

その思いはどんどん強くなり、目的のためなら手段を選ばない冷徹な男になっていく。

今、欲しいものは全て手に入れ、ヘンリーは満たされていたはずなのだが、1通の手紙が彼の良心を呼び覚ます。

目を背けていた過去の非道。

それはやがて彼に重くのしかかる。

この苦しみから逃れるためには、罪を贖うほかにない。

自称精神科医のソフィーは、ヘンリーの「悪行リスト」を作るのだが・・・。

面白かったが、ベタといえばベタか。

言い方を変えれば「裏切らない」ということにもなるが、そんなんで、読みやすかった。

しかしグイグイ読まされた割に、読み終わった時にあまり充足感がない。

こういうのを「娯楽モノ」とでも言うのか。

サラッと読むにはちょうど良いが、その場限りという感じであった。

ぽ子のオススメ度 ★★★☆☆

「ヘンリーの悪行リスト」 ジョン・スコット・シェパード

新潮文庫 ¥819(税別)

 

「爆笑必至・感涙保証」・・・はどうかとEE:AE4E6