「こ、これは・・・。」
私達はその広大なステージを目の前にして、息を飲んだ。
秩父ミューズパークの野外ステージ。
事前にホームページで見てはいたが、実際に目の前にするとそのスケールに圧倒された。
「BBQのついでにちょっとやらない?」というような、軽いノリで誘われたのだ。
コーラスのみ4曲と、難易度が低かった事もあり、こちらも軽くOKしてしまったのである。
しばらくしてスタジオ練習の動画が送られてきたが、ここで最初の冷や汗が出た。
みんな上手いのである。
考えてみればTOTOのコピーなど、シロートができるものではない。
これは真面目に取り組まないといけないと気付き、コーラスの音を拾って二度目の冷や汗が出た。
キーが高くて声が出ないのである。
出なくてもやらなくてはならない。
1オクターブ下げて、ダンナが歌うことにする。
二度ほどカラオケで練習したが、不安なまま当日を迎えたのであった。
ステージを見て圧倒されたが、楽屋にも驚かされた。
テレビ曲の楽屋みたいだ。
1-A。
そうなのだ、他にも部屋はいくつかあるのだ。
そして、
他にも出番待ちの楽屋もある。
プロっぽいEE:AEB64
他のバンドも上手い人ばかりで、出演するのにオーディションでもあったんじゃないかと思うほどであった。
というか、普段Pで遊び過ぎているのか。
一般的なレベルが良く分からない。
ギリギリまで楽屋で練習し、本番に備える。
そもそもメンバーもこの日初めて会った人ばかりなのだ。一度も合わせていない。
急遽助っ人を頼んだてっちゃんに至っては、練習どころかこの時初めてパート分けをしたという状態であった。
それでも、大きな失敗もなく無事に終わらせることができて良かった。
キーボードの音色が選べないというトラブルはあったようだが、こだわって作った音色だっただけに気の毒としか言いようがない。
私も以前、何故だか分からないがキーボードのキーが変わっていたというトラブルに見舞われたことがあるが、本当に不思議である。
結局BBQは、ドライバー用のノンアルコールビールが店にないという事で中止になり、買い出して来たビールを飲んで過ごす。
ここまでは良かった。
帰りの特急の時間は・・・、などと話していたら突然雷が鳴り出し、雨が降ってきたのだ。
この後のボーカル・フクヨさんの行動は、驚くほど早かった。
「今なら車で送ってもらえる??特急何時?間に合う!急いでそれに乗ろうッ!」
ものの5分もしないうちにテーブルを片付けて車に乗せてもらっていた。
その間にもどんどん雨は強くなってくる。
電車の席はバラバラだったので、満席に近かったのだろう。
発車まであと5分、というところまで時間は迫っていたが、売店で急いで酒を買う。
「早く早く!!」と手招きされながら、電車に滑り込んだ。
ひとりでサワーを飲んでいたが、昨日は5時半に起きてジョギングをしてからライブに向かったのだ。
気がついたら寝ていた。
目が覚めた時には、電車は駅に停まっていた。
トイレに行きがてらダンナのいる車両に行くと、落雷による停電で電車が止まってる事を知らされる。
とりあえず一人で座っていてもつまらないのでダンナと酒を持ってホームに出たが、一向に復旧する気配がない。
飲むしかやる事がないので、外に出て酒を買い足してさらにそれを飲んだ。
2時間だ。すっかりでき上がってしまった。
翌日が月曜日なので早く帰るつもりだったのに、Pである。
ぶっとびZが後から来たが、昨日は全然ぶっとんでなかったし、私の泥酔ぶりが際立っただけである。
半年ぶりに会ったサリーとの会話もなにひとつ覚えてなく、確実に昨夜は「降りて」いたようだ。
穴があったら入りたい。
昨日会った皆様、どうか早く忘れて下さいますよう。
あんなんでも掃除や洗濯をしている時間があるのです。
起きたら床の上だった。