「だって健診だったんだもん・・・。」
理由はそれだけである。
やる気ナシナシ、アホのような午前中であった。
9時に病院受付、時間厳守、と書いてあった。
朝のゲームも朝のパソコンも朝のピアノギターもナシだ。
朝の洗濯。う~ん、真っ当な朝である。
自転車で20分程行ったところの病院だ。
以前少しの間勤めていた宅急便の営業所の近く。
時間も同じじゃないか、久しぶりだ。
小さな川沿いの道をチャリチャリこいでいたら、職場の人間とすれ違った。
彼は私のいる本社ではなく、第2工場に派遣で来ているのだが、あっちが暇らしいのでこの頃本社に来ている。
彼が本社に来るまでに、すでに「第2にイケメンの派遣がいるらしい」という噂が流れていた。
そのイケメンが本社に来るというのでパート仲間は色めき立ったが、私は午後出勤のためなかなか会えなかった。
そのイケメン、数日後には「イケメン風」と呼び名が変わっていた。
遅ればせながら私も彼を拝む事ができたが、確かにイケメン風であった。
それっぽくもあるが、ちょっとまがい物の臭いがする。
そんな彼とすれ違ったのだ、自転車で。
一瞬の事で挨拶もしなかったが、実は彼だとは知らずに遠目に「お??♪♪」と思ってしまった。
しかしやはり近くで見ると「あれ?」となる。
や、別にそのままで充分かっこいい部類に入るタイプだが、一瞬ものすっごくかっこ良く見える気がしてしまうのだ。
でも良くみるとものすっごくかっこ良くはない。
彼のせいではないが、彼は損をしていると思う。
健診とは言っても、私達パートは大した事はしない。
尿検査、胸部レントゲン、後は身長体重血圧視力聴力、まぁ電気屋と大型スーパーでわかりそうなものばかりだ。
しかし、最後に医師の診察がある。
診察と言っても聴診器で胸の聞いて、2、3質問に答えるぐらいなのだが、この診察が10時10分からだと言う。
私達が他の全ての測定や検査を終えたのは、9時15分であった。
「9時に集合、時間厳守」と呼びつけておいて、診察は10時10分!?
かくして私達10人ほどの被検査人は、老人ホームの午後のように静かにテレビの前に集っていた。
私は本を持ってきていたからそれを読んでいたが、やがて隣で「オレンジページ」を読んでいたパート仲間のお腹がぐぅぅぅぅ~~~・・・と鳴った。
「お腹すいちゃって・・・。」彼女は照れくさそうに笑った。
昨日の夜9時以降は、飲食禁止だったのだ。
彼女はちゃんとそれを守ったのだろう。
私の腹は大人しくしていた。
なぜなら朝ご飯としてダンナと娘ぶー子の残したサバの皮とご飯を食べて、なおかつコーヒーも2杯飲んできたからだ。
ついでに言うと、昨日は10時に400gのステーキセットを食べ、11時半まで飲んでおった。
今日、問診表を記入するためにチマチマした説明をちゃんと読んだら、「前の晩の夕食は、できるだけ脂っこいもの(動物性)や甘いもの、アルコールを避けて下さい。」と書いてあった。
ニンニク食うなとは書いてなかったからここはセーフだが、至近距離での医師の診察でちょっと冷や汗をかいた。
しかも彼は、「最近急に体重が増えたり減ったりした事は?」などの質問の最後に「では舌出して下さい。」と言ったのだ。
うへ~、ニンニク舌ベロベロベ~である。
ついでに問診表の方だが、このように、当てはまるものに丸をして、いくつ以上あったら危険であるという類は、大体において私は危険因子に入る。
朝ご飯を抜く事があるか、魚より肉が好きか、野菜をたっぷり食べてるか、1日1時間以上運動するか。
親の小言かっ。不摂生は承知の上である。
医者というのはネガティブな烙印を押したがるものだ。
血圧がちょっと低かったぐらいで、特に問題はなかった。
レントゲンと尿検査の結果は後日だが、まぁ尿検査はステーキ汁やらサバ皮汁やらが混じるだろうからアテになるまい。
こんな健診になってしまったが、実は本命は夏にあるのだ。
今回のは半強制だったから来ただけで、私には毎年行っている健診がちゃんとある。
すきっ腹でバリウムだって飲んでいる。
そんな訳で、単なる冷やかしになってしまったが、会社が行けというので行ってきました。