人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

一年後のリハーサル

また私は走っていた。今度は背中にシンセを背負っている。

予定のバスに乗り損ねてしまったのだ。

しかしこのバスはぐるぐる循環しているコミュニティバスなのだ。一度離れてまた近くまで来る(笑)別のバス停にもう1回チャンスがあるのだ。それに向けて走った。

ダンナの予想だと「止まらずに走り続ければ間に合うんじゃないか」というところで、私は止まらずに走り続けた。

図らずも週末に2回もジョギングの羽目である。

バスは何とか間に合った。息が切れて、マスクが苦しい。

駅に着いたら、リハの開始まであと20分。バスの本数が少ないから、こんなことになっているのである。次のでは間に合わないのだ。

コンビニで時間を潰す。

小腹が減った。

食べたいものは色々あるのに、ダイエット上、制限があってなかなか決めることができない。

いちいち製品の裏を見て、炭水化物だの糖質量だのを確認。

ため息をつきつつ、サラダチキンをチョイス。

結局バッグに入れたまま、食べる暇がなかったのだ。翌日家でそれを見つけ、それはまだ冷蔵庫に入っている。

スタジオでのリハは、それこそ一年ぶりぐらいになるんじゃないだろうか。

セッティングとか、久しぶりだよ、でっかいアップじゃ。

グランドピアノの上にシンセを乗せ、楽譜を置く場所がないことに気づく。

シンセの向こう側にシンセケースを支えにして立ててみたが、これではピアノに座った時に見えない。

一応コピーも一部ずつ持って来てあったが、もうそれを置く場所もない。

そもそも色々と準備不足だったのだ。ここで諦めの終了ゴングが鳴った。

ピアノパートは捨て。

ライブがある訳じゃないからほどほどでOK、みたいな雰囲気だったはずが、みんなちゃんとやってきてるじゃないか。

テスト前に「全然勉強してないから」という周りの声を信じて、ひとりでバカを見たケースと同様だ。恥ずかしい。

かと言って、「ちゃんと仕上げて来い」と言われたところでせいぜいこの辺が私の限界だろう。テストも同様だ。

周りがどうあろうと、結局こうなるのである。

子供の頃から変わってないな・・・、演奏に遭難しつつ、思いを馳せる。

それでもこうして全員で音を合わせると色んな発見があり、もっと良くなる道が具体的に見えて来るものだ。

一人で練習していると、全体像が見えない。

自分の役割が確認できたのだ。今度はこれを持ち帰って、新たな形にするのが理想である。

しかし、ライブの予定がないという緩みが致命的だ。

果たして私はやるだろうか。