人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

殿堂に抗う

「好き」と「大丈夫」は必ずしもセットではない。

例えばカキは好きだけど、アレルギーがあって食べられない。

動物は可愛いと思うけど、実物は怖い。

そんなもののひとつである。

好きなんだけど、大丈夫ではない。

何度も後悔して、もう止めようとそこから足を洗ってきた。

それでも結局は「好き」なのだ、ついつい小さいところからまた、踏み込んでしまう。

やがてそれはだんだん大きくなり、いつかまた後悔するのである。

気がついたらズッポリはまっていた。

私はそのサイトをお気に入りに登録し、ちょっとした暇ができると読むようになったのだ。

それは怖い話を集めたサイトである。不思議な話や不気味な話なども含め、小さな話から大きな話まで随時更新されるので、常に内容が充実しているのだ。

昼間の明るいうちなら大丈夫、と最初は「不思議な話」あたりから読むようになった。

へ~、本当に不思議だ。

田舎に伝わる風習。

死んだおじさんが、亡くなる時間に訪ねてきていた。

絶対に近づいてはいけないと言われていた家。

徐々にそれは怪談めいたものになっていく。

自分に関わりのない話だったら大丈夫だろう。

場所が限定されている。そのような環境になり得ない。

やがてそういった感じに選別し、読めそうな怖い話を読むようになった。

そんな感じでとうとう3つある「殿堂入り」の話のうち、2つを読んでしまった。

怖くはなかった。

ひとつは昔話仕立てであり、まるで映画でも観るように楽しく読んだ。

もうひとつはいかにも嘘くさく、途中で読むのを止めてしまった。

殿堂入り、あとひとつだなぁ。これならいけるんじゃないか??

タイトルは名前だ。花子さん、とか村田さん、とかいう感じの。

いかにも都市伝説っぽいタイトルである。

読んじゃえEE:AE5BE

読みながら、これはフィクションだ、と思った。

細かい設定が甘い。

大げさな怪談にありがちな突拍子もない展開。

なんだ、余裕じゃん、と思っていたら、「この話を知ってしまった人は、・・・」という展開である。ギャー、それヤメテEE:AEB30

さっきまでフィクションだ、うそっぺー、全然怖くない、と思っていたのに、途端に私は恐怖のどん底に突き落とされた。

来るよ、手足ない人が来ちゃうよ、どうしようEE:AEACB

すぐにスマホを切り、気分転換に取り掛かった。

フザケンナヨー、汚い手使いやがってEE:AE5B1

私は心底後悔した。

そしてその後悔は、寝る前に頂点を迎えるのである。

「・・・という訳で寝るのが怖いのですが、どうしましょう。」

夜になり、恐怖心はより一層上がっていた。ダンナに説明するのも怖く、言葉を選んで遠回りをせざるを得なかった。

ところでダンナはこういった話を全く信じない人なので、冷静であった。

「まずね、そういう話はウソだから。だから怖がったところで何も起こらないの。それを不必要に怖がるから、ちょっとした物音や気配に敏感になる。それが『霊現象』になっちゃったりする。ただのドアを開ける音だったりするんだよ?怖がるから変な方にいっちゃうんだよ。」

分からなくはない。というか、その通りだろう。

しかし理屈ではないのだ。その人が来たら、チョー怖い。もうその人が来なくてもチョー怖いんだってEE:AEB64

「来ない!」「でももし来たら、」と不毛なやり取りのあと、「何かで上書きしたら?もう朝までゲームやってればいいじゃん。」と建設的なことを言った。

「でもでも、私一人でここでゲームやって、もうすぐ2時になるよEE:AE5B1夜中の2時にひとりで、みんな寝てて、2時に、そんなの・・・。」

ダンナは「ダメだこりゃ」というような顔をして、次に「猫の動画でも見たら?」と提案した。

ちなみに男女の会話の違いは、女性が共感を求めてただ気持ちをダラダラ垂れ流すのに対し、男性は具体的な案を出そうとする傾向があるらしい。その典型である(笑)

しかし無駄ではなかった。私はさしあたっての解決策を出すことができたのである。

薬だ。

不眠対策に安定剤を飲んでいるが、ここに抗不安剤を追加する。

精神を安定させる薬と、不安に抗う薬を飲むのだ。最強ではないか。効けばだが。

果たしてそれは、功を奏した気がする。

一体どこまでが薬の力なのかは分からない。

考えないようにしたこともあるだろうが、大して怖い思いもしないで普通に寝ていた。

あの「平気っぷり」は何だったんだろう??

実はもうあまり怖くなくなってしまったので、検証はまたいつか怖い日に持ち越しだ。

正直、単体ではあまり効いている気がしない薬だが、一緒になるとすごい力を発揮するのかもしれん。

それでももう、怖い話は御免だ。今度こそ、足を洗う。