夏が過ぎ、庭はまた死んだ。
花ブームはとっくに終わっていたが、それでもたまに衝動的にポットや鉢植えを買っていたのだ。
母が越冬させてくれたハイビスカスも月下美人も、枯れていると言われれば枯れて見える、というギリギリの状態であり、現在辛うじて生の息吹を感じさせているのはそれらと、ヒューケラと松葉牡丹だけである。
解説させてもらうが、ヒューケラは観葉植物に近い強い草で、放置しても時々降る雨だけで生きながらえている。
松葉牡丹は毎年、ひょっこりと勝手に生えてくる。
私の愛と努力で生きているものは、皆無であった。
私は、花の成長を見ることにより、エネルギーをもらっていたのだ。
なので逆に、元気がなくなってくるとこっちもゲンナリしてきて、逃げたくなってしまうのだ。
夏になれば庭は、過酷な環境になる。
しかし私はコンスタントに二日酔いになるので、水遣りをサボる。
直射日光の当たる庭は、朝早いうちに一度水をやっておかないと、花たちはすぐにゲンナリしてしまうのだ。
二日酔いに早起き。ぽ子もゲンナリ。
早起きして水遣りどころか、花の存在を思い出すのが週明けになることもある。
そうなると花は、明らかに私を恨んでいるだろう形態になっている。
私も私で、逃げに入る。
こうして夏の間に我が家の庭は、死の庭と化すのであった。
枯れた花、雑草、不規則に伸びた芝、土だけ入った植木鉢。
私の性格の象徴のような庭である。
もう花を植えるのもこのまま放置するのも苦痛だ。
私は専業主婦になり、家をホテルのようにきれいにしてやるという野望を抱いたが、この庭は「家」に含まれるのか、「外」に含まれるのか。曖昧だったためにこのような事態になっているのだろう。
ところで今日は木曜日で、月曜から酒を抜き、禁酒4日目に入ったところである。
つまり私は今、心も体もすこぶる元気で調子良く、あれこれとやる気に満ち溢れているのだ。
そんな私が今日出した結論は、「庭」は「家」に含まれる、ということである。
私はあの庭を救う。
てめーで殺しておいて何を言うか、という感じだが、3日間酒を抜いて分かった。
酒が悪いのである。
何度目の悟りだろうか。
いやしかし、今回の悟りはもうちょっと奥まったところにまで入ったぞ。
平日完全に酒を抜けば、家はホテルになる!!
この3日間、とてもいいサイクルで来たのだ。
家がホテルになるどころか、朝ご飯もアメリカンブレックファスト、弁当だって手作りである。
体もほっそりと痩せ、ダンナは私に惚れ直す。だから洋服もたくさん買ってくれるし、美味しいものもたくさんご馳走してくれる。
メシと言ったら酒である。
ドン・ペリニョンのロゼなど傾けながら、POPROCKで歌い明かす。
となると、どうなるか?
無理かのー、ホテル化計画。