人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

大いなる野望

夏が過ぎ、庭はまた死んだ。

花ブームはとっくに終わっていたが、それでもたまに衝動的にポットや鉢植えを買っていたのだ。

母が越冬させてくれたハイビスカスも月下美人も、枯れていると言われれば枯れて見える、というギリギリの状態であり、現在辛うじて生の息吹を感じさせているのはそれらと、ヒューケラと松葉牡丹だけである。

解説させてもらうが、ヒューケラは観葉植物に近い強い草で、放置しても時々降る雨だけで生きながらえている。

松葉牡丹は毎年、ひょっこりと勝手に生えてくる。

私の愛と努力で生きているものは、皆無であった。

私は、花の成長を見ることにより、エネルギーをもらっていたのだ。

なので逆に、元気がなくなってくるとこっちもゲンナリしてきて、逃げたくなってしまうのだ。

夏になれば庭は、過酷な環境になる。

しかし私はコンスタントに二日酔いになるので、水遣りをサボる。

直射日光の当たる庭は、朝早いうちに一度水をやっておかないと、花たちはすぐにゲンナリしてしまうのだ。

二日酔いに早起き。ぽ子もゲンナリ。

早起きして水遣りどころか、花の存在を思い出すのが週明けになることもある。

そうなると花は、明らかに私を恨んでいるだろう形態になっている。

私も私で、逃げに入る。

こうして夏の間に我が家の庭は、死の庭と化すのであった。

枯れた花、雑草、不規則に伸びた芝、土だけ入った植木鉢。

私の性格の象徴のような庭である。

もう花を植えるのもこのまま放置するのも苦痛だ。

私は専業主婦になり、家をホテルのようにきれいにしてやるという野望を抱いたが、この庭は「家」に含まれるのか、「外」に含まれるのか。曖昧だったためにこのような事態になっているのだろう。

ところで今日は木曜日で、月曜から酒を抜き、禁酒4日目に入ったところである。

つまり私は今、心も体もすこぶる元気で調子良く、あれこれとやる気に満ち溢れているのだ。

そんな私が今日出した結論は、「庭」は「家」に含まれる、ということである。

私はあの庭を救う。

てめーで殺しておいて何を言うか、という感じだが、3日間酒を抜いて分かった。

酒が悪いのである。

何度目の悟りだろうか。

いやしかし、今回の悟りはもうちょっと奥まったところにまで入ったぞ。

平日完全に酒を抜けば、家はホテルになる!!

この3日間、とてもいいサイクルで来たのだ。

家がホテルになるどころか、朝ご飯もアメリカンブレックファスト、弁当だって手作りである。

体もほっそりと痩せ、ダンナは私に惚れ直す。だから洋服もたくさん買ってくれるし、美味しいものもたくさんご馳走してくれる。

メシと言ったら酒である。

ドン・ペリニョンのロゼなど傾けながら、POPROCKで歌い明かす。

となると、どうなるか?

無理かのー、ホテル化計画。