人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

最後の時を

いくつになっても別れは辛いものだ。

その日が近づいていたのは分かっていた。

会いたいような、会いたくないような、会っておいた方がいいような、複雑な気持ちであった。

しかし別れが迫った今、「会っておいた方がいい」という事に気付いたのである。

私はそこへ向かった。

出会った場所である。

私達の付き合いは、まだ浅い。

私は日頃、「先入観を持つ」という事をしないように心がけてはいたつもりだったが(なぜなら逆に、こんな自分では先入観を自分に対して持たれた場合には、友達ができないからである、これは自分に対する他人への希望でもあるのだ)、気付かぬうちに彼には酷いレッテルを貼っていた。

あまりいい出会いではなかった。

正直に言うと、私は彼を見下していた。

いや、それどころか軽蔑していたと言ってもいい。

あまりにも当然のように蔑んでいたので、そんなレッテルを貼っていた事にすら気付かなかったのである。

そんな事を悔いたが、悔いた時にはもう別れは迫っていたのである。

ノンアルコールビール・

アインベッカー。

賞味期限、8月11日。

とうとう58円にまで値段が落ちていた。

ネットで買えば、一本200~300円するのである。

私は米を諦めて、4本買って帰ってきた。

我が家の在庫は6本となった。

もうすぐお別れだ。

300円のアインベッカーなんて、友達じゃない。