人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子54歳。

雷の夜、優しく起こす

今日、寝不足で仕事に行った人は多い事だろう。

ダンナは良く寝たようだが。

とにかく気がついたら夜中だった。

時計を見ていなかったからもしかしたら朝方だったのかもしれないが、ふと目が覚めたのだ。

ホスロールを飲むようになってから、ひどい寝不足はなくなっていた。

市販の弱い薬だろうが、寝入りの緊張は格段に軽くなった。

それなのに、こんな時間に目が覚めてしまったのだ。

どうした事か。

それは、だったのだろう。

もちろん最初はそんな事にも気付かなかった。

しかし、再び眠りに落ちそうになると、どうやらそのどちらかに起こされるのだ。

目を閉じていても分かる程の稲光、突然轟く雷鳴。

深夜の雷など初めてではない。

あぁ、鳴ってるな、最初こそそんな程度だったが、光りかたの方は激しさを増し、舞台のスポットライトのようにビカビカ瞬く。

これは・・・、

怖い・・・・・・・。

そのうち私は、ハッキリと恐怖心を意識した。

電気を消しているから、余計に光が明るく見える。

気付かない振りなんてできない。

私はアイマスクの存在を思い出した。

今よりずっとずっと前の事だ。

あの頃は寝入りの悪さではなくて、夜中や朝方に目が覚めて参っていた。

その頃に買ったのだ。

1つは100均で、一つは派手な下着セットについてきた。

派手な下着は娘ぶー子が買ったもので、ショッキングピンクと黒の艶々の下着だ。

それになぜかアイマスクがついていたのだ。意味深である。

しかもそのショッキングピンクのアイマスクには、大きく「CatchMe!」と書いてあった。

意味深長である。

そのうち私の眠れない時間帯が徐々に早まっていったため、いつの間にかアイマスクは必要なくなっていた。

寝る前にあれがなくて、必死に探した夜が懐かしい。

で、あのアイマスクはどこだっけ??

う~~ん、う~~ん、ベッドの引き出しが怪しい。

しかし確かめるためには、体を起こして電気をつけなくてはならない。

結局、体を起こすもの面倒だったし、電気をつけてぶー子が目を覚ますかもしれないので諦めた。

ところでぶー子はここ1週間ほどは自室で寝るようになっていたが、昨日はビデオに録ったほん怖を見たため、またひとりで寝れなくなってしまったのだった。

しかしだ、雷も怖い。

私は布団に頭から潜ったが、息苦しい。

何かないかと考えて、ハッそうだ!!ピンクちゃんがあるじゃないか、ピンクちゃんがこの枕元に。

ピンクちゃんとはエルのお気に入りのピンクのフリースの枕カバーである。

私はそのエルのヨダレだらけのピンクちゃんを、目の上に乗せた。

これでもう光は感じない。

グッナイ、エブリワン。

ドンゴロロ!!

「ヒッ!!」

思わず声が出てしまった。

近い。急に近いぞ。超ビックリした。

心臓、バクバクしている。

目隠しをしたせいで、とんでもなく驚くことになってしまった。

これでは暗闇で「ワッ!!」とやられたのと同じ事である。音はもっと悪質だが。

怖いのでピンクちゃんをどけたが、外はディスコである。

もう光=雷、雷=さっきのでかいのなので、光だって怖いのだ。

でも目隠しも怖い。

怖い~~~、怖い~~~(泣)

結局目隠しを選んだが、またしてもウトウトしたところで特大の雷が鳴った。

近づいてきていたのだろう。

またしても小さく悲鳴が漏れる。

ぶー子が起きてしまう。

どうか、どうか私の愛娘に、こんな地獄を見せないでッッ!!

ブゥ~~・・・。

屁だ。

その時、ぶー子が寝っぺをこいた。

恐怖におののく深夜に、この間抜けなサウンド。

私は笑い出しそうになったが、ぶー子を起こす訳にはいかないのだ。

この悪夢のような夜は、私ひとりで引き受けるッ!!

「・・・あえて音、出したんだけど。」

やがてぶー子が静かに言った。

起きてたのか。

驚いたというよりも、嬉しかった。

同志がいたのだ、この恐怖に耐えている・・・。

気持ちが緩んで、屁に爆笑してしまった。

フフフ、もう怖くないや。

誰かが一緒にいるというだけで、恐怖心は半減するものだ。

一体、あれは何時だったんだろう?

その後のぶー子談

「や、おかん、起きてるのかどうかわかんないし、こっちはもうずっと目ェ覚めてんのよ。

もし寝てたら起こすの悪いし、一番自然な形で確かめたんだって(笑)

無理矢理屁ェ出して、こっちだって大変だったんだからね!!」

「無理矢理って、全然自然じゃないじゃん!!」と、ダンナに突っ込まれていたぶー子であった。