ぽ子は寝不足に弱い。
肉体的な負担よりも、精神的な負担が大きい。
「昨日眠れなかった」と思うと、実際は起きてスッキリしていても精神的に満たされず、何とか不足分を取り返したくなる。
それができない場合、「いかに昨日は眠れなかったか」という事をダンナに訴えることで、精神のバランスを取っている状態だ。
それにしても、どうも、うまく眠ることができない。
子供の頃からそうであった。
布団に入ってもなかなか寝付けず、イライラしながら時間が過ぎていくのだ。
長い長い時間だった。
毎晩繰り返された。
布団に入ることは、絶望に近かった。
しかし今思えば、朝起きるのが遅すぎたのだ、あの頃は。
まぁ夜眠れないから朝起きれないのだが、8時頃だったか、起床は。
どこかでこの悪循環を断たねば、ちゃんとしたリズムを作れないのだが、難しいのは、悪循環を断ってもすぐに結果が出ないところだ。
私はまだ若かったので、すぐに結果を求めてしまうのだ。
なので、この悪循環は、結婚7年目まで続けられた。
何で「7年」とキッチリ覚えているかと言うと、私の悪循環は睡眠サイクルだけでなく生活全般に広く渡っており、そのせいで家庭が崩壊しそうになったからである。
これではいけない、と生活を改めることになるのだが、そこで気付いたことは、「早く起きれば夜ちゃんと眠くなる」という当たり前のことだった。
しかし、これはヘレン・ケラーが言葉の存在を知ったが如くショックであった。
そして、私に新たな光をもたらした。
早寝早起き。
ところが去年、それは本当の「早寝早起き」でない事を思い知ったのだ。
あれから約8年が経っていた。
私は酒の力で寝ていたという事がわかったのだ。
平日に飲まないで寝るようになってから、なかなか寝付けなくなった。
寝付けない前提で早目に布団に入るようにするのだが、どうもウトウトする頃に「ほら来たっ!!」と目が覚めてしまうのだ。
そうなるとなかなか眠れない。
私の理想は、11時に布団に入り、30分本を読んで、30分かけて眠る事だ。
ところが11時に布団に入るのが難しく、どんどん予定がずれ込んでしまう。
本を読む時間を減らせばつじつまは合わせられるが、眠りを誘うために読んでいるのだ。
時間で区切るのでは意味が無い。
そういう意味では30分と言うのもあくまでも目安である。こんだけ読みゃいいだろ、ぐらいな。
そんなんで、どうも起きても寝足りない気がしてしまうのだが、その上この頃は目覚しが鳴る前に目が覚めてしまうのだ。
「寝不足だ」「寝不足だ」と朝から不機嫌であったが、体も頭もスッキリしている。
もしかして、実はこれでも充分寝てるのでは??
そう思ったらパアァッと気持ちが明るくなった。
睡眠時間を「時間」で計り、足りないと精神的にダメージを受けるという被害者意識を長い間持っていたので、気付くのが遅くなってしまった。
ナポレオンの睡眠時間は3時間だったらしいが、ぽ子にはぽ子の睡眠時間があり、それは思ったよりも短かったのかもしれない。
寝入りの悪さは、寝る時間が睡眠時間に対して早過ぎるからなのか。
しかし「早く寝なくちゃ」というプレッシャーは禁物だから、11時就寝のサイクルは崩さずに行きたい。
金曜日。
早起き続きだが、元気である。