親愛なるバンド仲間のご子息おすすめの一冊。奇遇にも、最近東野作品を読み終わったばかりである。
映画の作品も二つほど観ているが、心に突き刺さるような感動の物語であった。
そんな東野圭吾が語る、自分の過去。軽快なエッセイだ。
「アホでした」などと言っても、大作家様のアホなど、正直あまり期待していなかった。
手の届かないようなアホか、上流社会のアホか。
ところが読んでみれば、何とも親しみのあるアホである。
レベルが低く、ヤンキーの無法地帯となっていた中学への入学。
読書が嫌いな東野氏と、本を読ませたい母親との戦い。
更衣室を覗き、親のお金をちょろまかし、ゲーセンに入り浸り、キセルで定期代を浮かす。
一浪を経て入学した学校は4年生にもなるとついていけず、落ちこぼれ同士で知恵を出し合って乗り越える。
微笑ましくもあるのだが、結構きわどいこともしているのが面白い。
なにより、大作家様も本当に「アホでした」という偽りない事実が痛快であった。
「何だかんだやらかしても、結局・・・なんでしょ?」というセコいところがなかったところが潔い。
実に面白かった。
ただ、ひとつ。
テレビの話が男の子向けでさっぱり分からなかったのは、残念。
ぽ子のオススメ度 ★★★★☆
「あの頃ぼくらはアホでした」 東野圭吾
集英社文庫