人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

あの頃ぼくらはアホでした / 東野圭吾

親愛なるバンド仲間のご子息おすすめの一冊。奇遇にも、最近東野作品を読み終わったばかりである。

映画の作品も二つほど観ているが、心に突き刺さるような感動の物語であった。

そんな東野圭吾が語る、自分の過去。軽快なエッセイだ。

 

「アホでした」などと言っても、大作家様のアホなど、正直あまり期待していなかった。

手の届かないようなアホか、上流社会のアホか。

ところが読んでみれば、何とも親しみのあるアホである。

レベルが低く、ヤンキーの無法地帯となっていた中学への入学。

読書が嫌いな東野氏と、本を読ませたい母親との戦い。

更衣室を覗き、親のお金をちょろまかし、ゲーセンに入り浸り、キセルで定期代を浮かす。

一浪を経て入学した学校は4年生にもなるとついていけず、落ちこぼれ同士で知恵を出し合って乗り越える。

微笑ましくもあるのだが、結構きわどいこともしているのが面白い。

なにより、大作家様も本当に「アホでした」という偽りない事実が痛快であった。

「何だかんだやらかしても、結局・・・なんでしょ?」というセコいところがなかったところが潔い。

実に面白かった。

ただ、ひとつ。

テレビの話が男の子向けでさっぱり分からなかったのは、残念。

 

ぽ子のオススメ度 ★★★★☆

「あの頃ぼくらはアホでした」 東野圭吾

集英社文庫