人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

土曜日、有意義な一日

「土曜日は何の予定も入ってないから、ちゃんと計画して有意義に過ごそう。」

金曜の夜、私達は話し合っていた。

 

ネットでイベントを調べる。

いや、動物園もいいね。

いやいやもういっそ、食べることに絞ってみるか。

 

難航した。

何を決めるにもそうだが、決め手がないのでどれも捨てがたく、またどれも決定打に足りず、ただあれこれいいねと言っているだけで時間が過ぎていた。

 

「そういえば、カラオケ行ってないね。」

「ホントだ、カラオケ行ってないね。」

「カラオケにしようか。」

「カラオケにしよう。」

 

カラオケの登場で、呆気なく決まってしまった。

カラオケ。

何の情緒もない休日である。言い代えてみれば、昼飲み。

私らの決定打など、こんなものである。

 

 

それでも金曜の夜と来ればキッチリ飲むので、翌日カラオケボックスに着いてからの最初の1杯が重い。

フリータイムをフルに使うために、開店時間である11時には到着していた。

まずはドリンクバーでアイスコーヒーとスープを2種類、メニューを見て最初の1時間は過ぎてしまった。

 

しかし、ひとたびアルコールが回ればあとは突き進むのみ。

気がついたらもう6時だ。酔っ払いの時の流れは速い。

そして時間の観念は、なくなる。

 

「ラーメン食べよう。」もはや、セットだ。カラオケボックスを出るとラーメン。

「どうせなら久米川に行くか。」

ひと駅先に行けば、ラーメンの選択肢は増える。

酔っ払いのフットワークは軽い。

そこにあるのは「今」だけなのである。「遠い」「面倒」「寒い」など、感知できはしない。

ある意味無敵だ。この調子で小金井の二郎へ行ったのはいつのことだったか。

 

あくまで本能に忠実である。

ちょっといい中華屋さんに入り、予定よりハイレベルなラーメンを食べる。

これでも勢いは留まることはなく、気になっていたけど勇気がなくて入れなかったお店に突入。入ってみたら飲み屋と言うよりもバーであった。これまたハイレベルなやつ。

そして最後っ屁にココイチのカレーを食べてやっと家に向かうバスに乗り、帰る途中でスーパーに寄って肉を買った。

 

その肉を食べて、一日が終わったのである。

これが私達の「有意義な一日」であった。