昔話というものは、子供が読んだり聞かされたりするためのものだと思っていた。
しかし思い返してみると、結構残酷だったり救いようがなかったりするものも多い。
その裏に「・・・だから、こういうことはしないようにしましょう」とか「こうならないようにしましょう」という教訓があるのかもしれないが、たとえば姥捨て山とかその発想、ひど過ぎでは。何考えてんじゃ、ワレEE:AE4E5
さるかに合戦にしても、現代のイジメほどに意味がなく陰湿な猿も猿だが、蟹サイドの逆襲も、やりすぎである。
印象付けるにはインパクトも必要かもしれないが、ハリウッドのアクション映画的派手さである。
私はあまり辛抱強い子供ではなかったので、シンプルな物語しか思い出すことができない。
そんな中で好んで読んだのは、「手袋を買いに」のようなハートウォームなものだ。
もう子供たちにはこれ1冊でいいじゃないか、というほど美しい物語だ。
作者のこの動物に対する目線、タヌキの背負った荷物に火をつけることを考えた作家にも学んで欲しいところである。
それにしても驚いた。
この「手袋を買いに」の作者は新美南吉という人らしいが、まさに今、この人の書いた昔話でハートがブレイクしていたところなのであった。
私はその話を知らなかった。
タイトルは良く聞くので有名な話だと思うが、先日新聞にこの作家の事が書かれていて、この昔話のストーリーにも触れていたことで私も知ったのだった。
これはもう「ひどい」とかいうレベルではない。
原文を読んだが、私は泣いた。
43歳が泣くほどの昔話である。
新聞の記事には「ストーリーには悲哀がなくてはならない。悲哀は愛に変わる。俺は悲哀、すなわち愛を含めるストーリーをかこう」という新美の言葉が載っていたが、悲哀ぐあいが半端じゃなく、愛に変えることが難しい。
しかしなんなんだ、この美しさは。
もう切なくてあれからずっと、ハートブレイクなのであった。
こういう辛さは伝染させるに限る。
とりあえず1週間ほど前から、先の記事を風呂場に置いておき、その物語を忘れかけていた娘ぶー子のハートを砕くことに成功したが、それだけでは足らないので今度は、インターネットの力で拡散を試みる。
ご存知の方も多いだろうが、そういう方はいま一度。