さまざまな理由で自殺を遂げた若者5人の「遺書」を基に、なぜこのような悲劇が起こったのかを追うノンフィクション。
亡くなった経緯に触れた後、遺族のインタビューが続く。
この本が伝えたいのは、亡くなった本人の無念もそうだが、残された者の行き場の無い悲しみである。
若者たちは皆、周りに心配をかけまいとその素振りすら見せぬまま死んでいった。
気づく事ができなかった自分を責める遺族達だけが残されるが、彼らの悲しみにゴールはない。
特に、いじめで息子を亡くしながらも学校がうやむやにして真実が分からない、というケースには憤りを感じた。
終わりの無いゴールでも、謝罪ひとつでその重荷を軽くする事はできるだろうに。
真実の重みが伝わってくる1冊だ。
ぽ子のオススメ度 ★★★☆☆
「遺書」verb・制作
幻冬舎文庫 ¥495(税別)