嫌な予感はしていたが。
結局私が起きたのは6時だった。
ダンナはそれより30分早く起きて、ジョギングもシャワーも済ませていた。
何の準備もしていなかったので出発は9時だ。
バカンスに選んだのは、去年感動した蓼科だった。
今年はハイキングがてらたくさん写真を撮るつもりでいたが、雨だ。
闇雲に車で動き回ったので、早起きしてジョギングまでしたダンナは、すっかりお疲れモードに。
じゃあもう宿に行こう、と向かった途中でヤギ発見。
その小さな牧場で降りてウサギにご飯をあげ、戻ろうとすると、駐車場の先でラジコンカーのレースをやっていた。
ラジコンオタクを心の中でバカにしてやろうと思い見に行ったら、凄い迫力にすっかり魅了されてしまった。
スピード、音、バトル、小さなF1の世界がそこにはあった。
みなさん、ラジコンマニア(オタクから昇格)をバカにしてはいけません。
もしかしたら電車オタクやアニオタも。
彼らを評価するには、自分がまず一歩、そこに入らなくてはなるまい。
しかし、20分のそのレースをフルに見たためにダンナの疲れはいよいよMAXに、宿に着いたらすぐに横になって「ヤバい、寝る…」と呟いた。
食事まであと30分であった。
最後の力を振り絞って風呂に入ったが、嫌な予感はこのあたりからどんどん膨らんできたのだ。
晩御飯は食べ放題である。
私達は食べ放題となると毎度苦しくなるまで食べまくるが、その先にあるのは睡魔である。
ダンナは寝る。
食べ終わって部屋に戻ったら、きっと寝る。
そんな時間に寝てしまったら、一体何時に起きる事になるのか?
それよりも、長い夜をひとりどう過ごしたらいいのか?
いや、もっと悪いのは、私も睡魔に負けて寝てしまう事だ。
きっと夜中に目が覚めるだろう。
そこから寝れる気がしない。
全くその最悪のパターンであった。
腹一杯食べて苦しくなり、部屋に戻って横になったら「苦しい」と交互に言っているうちに眠りこけてしまった。
目が覚めたのは12時だ。
ちくしょー目が覚めてしまったという忌々しさとダンナのイビキで、睡魔は遠のいていくばかりである。
諦めて起きるには、ほんのり瞼に残っている僅かな眠りの余韻が惜しい。
酒ならたくさん買ってあったが、この時間に水分を摂ると後のトイレが心配である。
トイレなら室内にあるがユニットバスで、ドアを開けるなり鏡である、恐ろしいことこの上ない。
困った困った、としばらくイライラもじもじしていたが、観念して冷蔵庫から白ワインを取り出した。
もう酔ってしまうしかない。
寝るもトイレも、酔ったどさくさに任せる。
かくして1時30分、ダンナも起き出して晩酌である…。