人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

さよなら、ジョニー

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「逃げよう。このままじゃ殺されるのを待つだけだ。」

深夜、私達は屋敷の暗い地下に集まって、話し合っていた。

メイドのブリジット、庭師のダグラス、執事のイスカリオット、コックなど何人も入れ替わっているので初めて見る顔も多い。

「あんたは長いけど、いつアイツの気が変わるか分かったもんじゃないからね。悪い事言わないから、簡単に荷物をまとめておきな。」

アイツの8人目の情婦となってから、何ヶ月が経っただろうか。

これまで何人もの人間が、アイツの手によって目の前で殺されていった。

気分次第である。

しかし私はもう恐怖を感じなくなっていた。

どこにいたって、死ぬ時は死ぬのだ。

諦めにも似たような気持ちだったが、その時私は熱い視線を感じていた。

「俺達と逃げるんだ。」

保全のター坊が強い口調で言う。

分かっている、それが一番いい事なのは。

でもなぜ、気持ちが揺れるのだろう。

それぞれが、小さなバッグひとつを持って再び屋敷の裏に集まったのは、小一時間ほど経った頃か。

見つかったら殺される、早くここを離れなくては。

その時、暗がりからアイツが現れたのである。

皆、一斉に散った。

しかしこれも、予定通りである。

もし見つかったらひとつにかたまらずに散り、ひとまず隠れてから、合図があって攻撃。

ナイフ、拳銃、そう言った武器を、ダグラスとイスカリオットが少しずつ集めておいてくれたのだ。

しかし私は動けなかった。

簡単に捕まり、アイツに強く手を掴まれる。

私達はそのまま長い間、睨み合っていた。

やがて強く抱きしめられ、私は確信する。この人が好き。

しかし今アイツは私の背中に、いつものあのサバイバルナイフを握っているのかもしれないのだ。

愛し合っているという希望と迫り来る死の恐怖の間で揺れながら、やがてアイツが殺されるのを待つ。

この人を殺さないで。

そしてアイツの手にも、力がこもる・・・。

と、いうような夢を見ていたのだ。

なんてドラマティックな夢なの!!

恋愛においてそのような経験はもちろんないし、演劇部に所属していた事もない私には大変刺激的な夢であった。

ちなみに「アイツ」は醜い変態のような容姿ではなく、パイレーツオブカリビアンのジョニー・デップのようなイケメンである。

あぁ切ない。

彼が殺される前に目が覚めて良かった。

しかし実際に目が覚めた私は、心臓が飛び出すかというほど驚いたのだ。

まだ部屋は暗かったが、ボンヤリと目の前に浮かび上がったそれは、首をつってグエーって顔になってる頭だったのである。

あまりの恐怖に目を閉じることができなかった。

ありえない。

幻覚?夢?

目を凝らすとそれは、こちらを向いた、去年から出しっぱなしの扇風機であった。

チョーびびったEE:AEB64

ドラマティックな夜だった。