ダンナの仕事が繁忙期に入り、11時半帰宅の日々が始まった。
風呂を出てテーブルにつけばもう12時近く、食べたら寝るしかない時間である。
それまでにできる唯一の娯楽とは、飲酒だ。
まだ一週間は始まったばかりだが、サラリーマンとしての仮面を脱ぐ時間が必要なのである。
その時間、約1時間半。
それでもう1時半になってしまうのだ。
ダンナも布団に消えたので私もそのまま寝れば良いのだが、このまま寝ると子猫の次回のミルクが朝の4時半になってしまう。
こんなに気持ち良く酔っているのだ、4時半などに起きる自信はない。
そこで私は「おやつ」と称して、子猫を無理矢理起こしてミルクを少し飲ませる事にした。
まずミルクの前にトイレをさせねば、とリビングを出ようとしたら、ダンナの寝ている部屋からエルがすっ飛んで出てきた。
そして「一緒に行こう♪」とドアに二本足で寄りかかって立ち、こちらを見た。
良くある光景だが、子猫が来てからというもの、そこから先にエルは出していないのだ。
可哀相だが置いていかなくてはならない。
私はドアを細く開けてスッと素早く出た、出たつもりだったのだが、それを上回る速さでエルが先に出てしまった。
そのまま階段を上って行ってしまったのでどうしたものかと考えたが、まぁ入れるだけならいいか、ケージにはバスタオルをかぶせてあるし、と、いつものように寝室のドアを開けた。
当然とでも言うようにエルはすまして先に部屋に入ったが、一歩足を踏み入れた途端に異変を感じたのか、足がピタリと止まった。
そして体を低くして、抜き足差し足でゆっくりと臭いを嗅ぎ周り始めたのだ。
大人しくいつものように布団に入ってくれれば一緒に寝てもいいかとも思ったのだが、エルはいつまでも臭いを嗅いでいるので今日はそこまでにした。
そう、エルよ、ここに私たちの浮気相手がいるのだよ・・・。
エルをリビングに戻すと、彼女に愛の言葉を囁いたその舌の根も乾かぬうちに、今度は子猫にミルクである。
この子はお腹が一杯になるとすぐに寝てしまうが、踏み潰してしまいそうで一緒に寝たことはない。
しかし酒効果が切れ始めてこちらもかなり眠くなっていたので、ギリギリの際まで一緒にウトウトする事にした。
ギャンブルである。
シラフならまだしも、飲んで横になって、これはかなりリスクの高いギャンブルである。
勝ったところをみると、私もなかなかの勝負師なのかもしれないが。
子猫をケージに戻したら、安心して眠りに落ちる。
グーテナハト。
何だか今週一杯飲んでもいいなの誘惑。
EE:AEAC4EE:AEAC4EE:AEAC4EE:AEAC4
EE:AEAC4EE:AEAC4EE:AEAC4EE:AEAC4EE:AEAC4
どぅおっEE:AE4E5
だ、
だ・・・、
あ、
暑くて寝苦しくて目が覚めた。
それもそのはず、室内の温度設定は29度、体温調節のできない子猫のために、現在寝室は常夏のパラダイスとなっている。
しかし朝までに目が覚めたのは初めてのことである。
特別暑いぞ、今日は。
だからと言って部屋の温度を下げる訳にはいかない。
私はパジャマの裾をたくし上げて短パンにし、Tシャツをまくって腹を出した。
しかし暑い。
目の前に去年から出しっぱなしの扇風機を発見。えらいぞ、良くやった、人間のクズ、出しっぱなし。
ソフト運転にしてタイマーもかけずにそのままにした。
ドロンと熱風が送られてきたが、そのお陰で朝まで寝た気がしなかった。
朝が来ればまたミルクである。
ミルクの後にまた子猫を抱いてウトウトしていたが、いや、こんな非効率な眠りではダメだ。
私は子猫をケージに戻し、涼しいリビングで本妻と眠ったのであった。
そんな午前中である。
GWと大差はない。