人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

うな串バトル

もう悩むのは時間の無駄なのだ。

それはもう良くわかった。

だから今日の決断は早い。

ゲームの時間は二度寝に変更。

しかし「じゃあ寝ろ、今すぐ寝ろ、もったいないから早く寝ろ」と思うと今度はなかなか眠れない。

結局ゲームも二度寝も逃した形で、家事に移る。

猫の毛づくろいでテンションを上げ、風呂の掃除に着手。

この頃誰かが風呂を掃除してくれているみたいで、実に久しぶりだ。

おお、洗剤も補充されている。

「なんか、お父さんって、かわいそうだよね。」

今朝の娘ぶー子のセリフである。

母の日にはぶー子が晩ご飯とデザートを作ってくれたが、その残りのチョコレートをボリボリ食べながら、続ける。

「これ、お金出してくれたの、お父さんだし。」

「私もしょっちゅう借金踏み倒すし。」私も続く。

人知れず風呂を磨いていると思うと、なお気の毒である。

今日の晩ご飯は決まっていなかった。

しかし午前中に作ってから仕事に出たかったので、適当に材料だけ買ってしまったのだ。

これで何かを作らなくては。

ネットで調べて事なきを得たが、時間がなくなってきた。

まずはうなぎを温めて串を取り、刻む。

しかし温め足りなかったのか、なかなか串が抜けない。

うなぎの串というのは、クルクル回しながら抜かないとうまく外れないのだが、串がヌルヌルしているので指が空回りしてしまう。

これは、超、イライラする(怒)

ええい、知るかッ、メリメリ!!

ぶっちぎってやった。何だか勝った感。

結局全部メリッてしまった。

その様子を2匹の猫が、正面のカウンターに座ってじっと見ていた。

チビ助エルは気になって仕方がないようで、串に合わせて大きく体を動かしている。

大人のラはじっと座って見ているが、エルだけに食べさせようなんて、そうはいかない、と言う気迫を感じる。

引きちぎった串に、ちょこっとうなぎの身がついてきた。

もったいないから食ってしまえ、と私はそれを口に運んだのだが、その時エルは自分がもらえると思ったらしく、体を大きくこちらに乗り出して、手を伸ばしてきた。

つられてラも前傾。

アハハ、ごめんよ~。これ、ぽ子の♪

しかし、私がうなぎの串を口に運ぶたびに、エルは手を伸ばし、ラはこちらに寄ってくる。

しょーがねーなー、もう。

こんなに味の濃いものをあげていいものか迷ったが、まぁ串のまわりに張り付いたほんのちょっとだ。

串を差し出すと、ラは匂いですぐに恐れをなして退いたが、エルはうまそうにベロベロ舐めつくした。

エルちゅう、うなぎ食べるの巻。

ところで丑の日でもないのにうなぎとは豪勢だと思われそうだが、350円が半額になっていたから買ったのだ。

見るからにまずそうなので、とろろと一緒にうどんに乗せて食す。

よほどエルはうなぎが気に入ったのか、ちょっとパソコンのモニターを覗いている間に、流しに上がって物色していた。

すぐに手で下ろしたが、次はきゅうりを塩で揉む作業である。

私は手を洗おうと思ったが、ハッ、これはエルへの侮辱ではないか。

私は手を洗わずにきゅうりの塩もみをして、忠誠心をみせた。

長いこと猫と暮らしていると、毛ぐらいでは何とも思わなくなる。

ご飯に入っていようがコーヒーに浮いていようが、そのまま口に入れてもへっちゃらだ。

・・・と言うか、これは毛をよけるのが面倒だという横着からだろうか??

まぁいい。

ぽ子は猫を愛する横着者なのだ。

今夜の晩ご飯は、うなとろうどんである。