もう悩むのは時間の無駄なのだ。
それはもう良くわかった。
だから今日の決断は早い。
ゲームの時間は二度寝に変更。
しかし「じゃあ寝ろ、今すぐ寝ろ、もったいないから早く寝ろ」と思うと今度はなかなか眠れない。
結局ゲームも二度寝も逃した形で、家事に移る。
猫の毛づくろいでテンションを上げ、風呂の掃除に着手。
この頃誰かが風呂を掃除してくれているみたいで、実に久しぶりだ。
おお、洗剤も補充されている。
「なんか、お父さんって、かわいそうだよね。」
今朝の娘ぶー子のセリフである。
母の日にはぶー子が晩ご飯とデザートを作ってくれたが、その残りのチョコレートをボリボリ食べながら、続ける。
「これ、お金出してくれたの、お父さんだし。」
「私もしょっちゅう借金踏み倒すし。」私も続く。
人知れず風呂を磨いていると思うと、なお気の毒である。
今日の晩ご飯は決まっていなかった。
しかし午前中に作ってから仕事に出たかったので、適当に材料だけ買ってしまったのだ。
これで何かを作らなくては。
ネットで調べて事なきを得たが、時間がなくなってきた。
まずはうなぎを温めて串を取り、刻む。
しかし温め足りなかったのか、なかなか串が抜けない。
うなぎの串というのは、クルクル回しながら抜かないとうまく外れないのだが、串がヌルヌルしているので指が空回りしてしまう。
これは、超、イライラする(怒)
ええい、知るかッ、メリメリ!!
ぶっちぎってやった。何だか勝った感。
結局全部メリッてしまった。
その様子を2匹の猫が、正面のカウンターに座ってじっと見ていた。
チビ助エルは気になって仕方がないようで、串に合わせて大きく体を動かしている。
大人のラはじっと座って見ているが、エルだけに食べさせようなんて、そうはいかない、と言う気迫を感じる。
引きちぎった串に、ちょこっとうなぎの身がついてきた。
もったいないから食ってしまえ、と私はそれを口に運んだのだが、その時エルは自分がもらえると思ったらしく、体を大きくこちらに乗り出して、手を伸ばしてきた。
つられてラも前傾。
アハハ、ごめんよ~。これ、ぽ子の♪
しかし、私がうなぎの串を口に運ぶたびに、エルは手を伸ばし、ラはこちらに寄ってくる。
しょーがねーなー、もう。
こんなに味の濃いものをあげていいものか迷ったが、まぁ串のまわりに張り付いたほんのちょっとだ。
串を差し出すと、ラは匂いですぐに恐れをなして退いたが、エルはうまそうにベロベロ舐めつくした。
エルちゅう、うなぎ食べるの巻。
ところで丑の日でもないのにうなぎとは豪勢だと思われそうだが、350円が半額になっていたから買ったのだ。
見るからにまずそうなので、とろろと一緒にうどんに乗せて食す。
よほどエルはうなぎが気に入ったのか、ちょっとパソコンのモニターを覗いている間に、流しに上がって物色していた。
すぐに手で下ろしたが、次はきゅうりを塩で揉む作業である。
私は手を洗おうと思ったが、ハッ、これはエルへの侮辱ではないか。
私は手を洗わずにきゅうりの塩もみをして、忠誠心をみせた。
長いこと猫と暮らしていると、毛ぐらいでは何とも思わなくなる。
ご飯に入っていようがコーヒーに浮いていようが、そのまま口に入れてもへっちゃらだ。
・・・と言うか、これは毛をよけるのが面倒だという横着からだろうか??
まぁいい。
ぽ子は猫を愛する横着者なのだ。
今夜の晩ご飯は、うなとろうどんである。