電車を乗り継いで1時間半。
紹介状を出してもらい、この日が最後の通院日であった。
しかし、雨。
駅までは自転車を使っていたが、長年通って雨だったことはほとんどない。記憶だと、まだ2回目。運が良かったと言っていいだろう。
しかし、雨だ。
膝下まであるカッパを着込み、傘代わりの帽子をかぶる。
カッパも帽子も大した防水の役目はなく、「一枚上に着て2枚目を防いでいる」だけであった。
駅に着いたらこれを脱いで体を拭くことになる。鬱陶しいし、煩わしい。
雨の中、自転車をこいでいた。鬱陶しくて煩わしい作業があるので、時間は多めにとってある。いつもはギリギリなのですっ飛ばしていたが、この日は時間に焦る必要はなかった。
信号が変わり道路を横断する時に、向かいから傘をさして歩いてきた年配の女性が、すれ違いざまに何か言うのが聞こえる。
「雨の中、大変ですね。お気をつけて。」
私は自転車だったので、あっという間にすれ違ってしまった。ありがとうございます、と言ってみたがこの声は届いただろうか。
変わらない毎日だった。
1時間半刻みの猫の介護。もうすぐこの子を手放さなくてはならない恐怖と背中合わせで、それを直視しないよう、ただただ必死に1時間半を繰り返していた。
そんな中で、ふと届いた小さなエール。
神は見ている。私を見捨てはしない。
そんな気持になる。
優しい雨だった。