*下書き保留していたものを、少しずつアップしようと思います。
驚いたことに、エルの食欲は衰えていない。
もう食べなくなっていたレトルトをどんどん食べている。このまま処分になるかと思っていたが、とんだどんでん返しである。
栄養が摂れたからか、すこぶる元気だ。
まぁそもそももうおばあちゃんなので基本寝ているが、昨日は自ら2階の寝室へと階段を上がっていった。こんなことは何ヶ月ぶりのことだろう。
深夜のご飯も多めに用意したが、足りなかった。食欲はいつも倍ペースだ。
表情もいい。
布団に入って来て、喉を鳴らす。
ああ。
ガンが広がる前に見送ろうとしていたのに。
薬の効果が切れたら、弱っていくだろうと思っていたのだ。
命が繋がったばかりかこんなに元気になってくれたというのに、手放しで喜ぶことができない。
今はまだ、ガンの苦痛はそれほど及んでいない。余命が延びればそれだけガンも成長する。
昨日、私は自分に問うた。
余命が短くて苦痛が少ないのと、余命が延びて苦痛があるのとどちらがいいのか。
答えは明らかだ。決意しなくては、と思ったところであった。
しかし今、エルは元気だ。ちょっと呼吸が早い感じはあるが、まだ辛そうには見えな
い。
エルは、生きようとしている。
また、死神と戦い始めたのだ。
病院に連れて行くなら、体調のいい今ではないか。
検査をすれば、今エルはどういう状態でどうケアしていくべきなのか、教えてくれるだろう。
今後起こりうることへの対処も考えてくれるはずだ。
それらは、苦痛の緩和に繋がる。
しかし、ガンの成長を許す延命にも繋がるのだ。
食欲増進剤を飲ませたのは間違いだったのか。
あるがままに任せるべきだったのではないか。結局私も延命に加担したのだ。
もちろん、長く生きて欲しい。長く一緒にいたい。
でもその先に苦痛が待ち受けているのなら。
答えは出ていた。そのくせ、迷っていた。
いずれにしろ今エルは、元気だ。あのまま弱っていったら、もう見られなかっただろう姿だ。
素晴らしい贈り物だ。
これから待ち受ける運命の対価なのか。
