人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子57歳。

エル、乳腺腫瘍<16>

*下書き保留していたものを、少しずつアップしようと思います。

 

驚いたことに、エルの食欲は衰えていない。

もう食べなくなっていたレトルトをどんどん食べている。このまま処分になるかと思っていたが、とんだどんでん返しである。

栄養が摂れたからか、すこぶる元気だ。

まぁそもそももうおばあちゃんなので基本寝ているが、昨日は自ら2階の寝室へと階段を上がっていった。こんなことは何ヶ月ぶりのことだろう。

深夜のご飯も多めに用意したが、足りなかった。食欲はいつも倍ペースだ。

表情もいい。

布団に入って来て、喉を鳴らす。

ああ。

 

ガンが広がる前に見送ろうとしていたのに。

薬の効果が切れたら、弱っていくだろうと思っていたのだ。

命が繋がったばかりかこんなに元気になってくれたというのに、手放しで喜ぶことができない。

今はまだ、ガンの苦痛はそれほど及んでいない。余命が延びればそれだけガンも成長する。

昨日、私は自分に問うた。

余命が短くて苦痛が少ないのと、余命が延びて苦痛があるのとどちらがいいのか。

答えは明らかだ。決意しなくては、と思ったところであった。

 

しかし今、エルは元気だ。ちょっと呼吸が早い感じはあるが、まだ辛そうには見えな

い。

エルは、生きようとしている。

また、死神と戦い始めたのだ。

病院に連れて行くなら、体調のいい今ではないか。

検査をすれば、今エルはどういう状態でどうケアしていくべきなのか、教えてくれるだろう。

今後起こりうることへの対処も考えてくれるはずだ。

それらは、苦痛の緩和に繋がる。

しかし、ガンの成長を許す延命にも繋がるのだ。

 

食欲増進剤を飲ませたのは間違いだったのか。

あるがままに任せるべきだったのではないか。結局私も延命に加担したのだ。

もちろん、長く生きて欲しい。長く一緒にいたい。

でもその先に苦痛が待ち受けているのなら。

答えは出ていた。そのくせ、迷っていた。

 

いずれにしろ今エルは、元気だ。あのまま弱っていったら、もう見られなかっただろう姿だ。

素晴らしい贈り物だ。

これから待ち受ける運命の対価なのか。