モーズ軟膏の処置から帰ってから、エルはグッタリ。ご飯も食べずにただ寝ている。
薬もあげられず、見守るしかなかった。
この日は映画鑑賞の日だったが、もう時間も遅くなってしまったので諦めて映画飯(ジャンクフードだ)をリビングで食べることにする。
値下げ品の総菜だ。ピザ、細巻き、シューマイ、何でもあり。
テーブルにそれらを並べて食べ始める。
エルはソファの上の猫ベッドで寝ている。空気は重い。こんな時にシューマイとかよ。
すると突然、エルはムクッと起き上がった。テーブルの上の総菜を見ている。
「起きたよ。」
「匂いするのかな?」
私はシューマイをエルの鼻先に持って行ってみた。エルはクンクンと匂いを嗅ぎ、おもむろにガブリと食いついた。
慌てて引っ込めたが、食べる気あるの!?
試しにピザの生地を千切って出すと、喜んで食べた。
「ちょっと、ピザとシューマイ、いけるよw」 だからと言って、こんなものを食べさせる訳にもいかない。
時計を見る。21時45分。スーパーへ走った。
大成功だ。エルは挽肉を喜んで食べた。念のため、豚肉、合挽、鶏肉の3種類を買ったが、レンチンするとどれも綺麗に食べたのだ。
理由は分からない。匂いが良いからか、味覚的鮮度が高かったからか。
栄養が偏りそうなので、少しずついつものご飯を混ぜるようにしたが、腫瘍が自壊するとタンパク質が失われるとのこと。高タンパクトッピングで悪くなかろうぞ。
こうして窮地は脱した。
良く食べている。出せば出すだけ食べる勢いだ。本当に、頼もしい限りである。
しかし腫瘍の方は、臭いこそなくなったが、日に日に滲出液が増えている。かさぶたなどという乾いた響きではない。
まぁモーズ軟膏をやっていくなら、週に一度は診て貰えるのだ。悪いようにはならないだろう。
今できることをやるのみだ。しっかり食べてもらい、消毒・ガーゼの交換をする。
投薬と、サプリ。
そして夜は、一緒に眠る。
ゴロゴロと喉を鳴らす音が聞こえる。
癌だなんて、信じられない。
