人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子57歳。

エル、乳腺腫瘍<1>

タイトルの通りだ。こんな文字を入力する日が来るとは思わなかった。

甲状腺の検査に行った一週間ほど後。ふとベッドに血がついていることに気が付いた。

エルが寝ている場所である。思い当たることはひとつ。脇のしこり。すぐに病院に連れて行った。

 

担当医師が休みだったので、ラッキーとミュウを診て貰っていた先生にお願いした。

「これは多分、乳腺腫瘍です。」

腫瘍が膿んで出血している。放置すれば自壊し、広がり、苦しめることになるらしい。

しかし年齢的に、手術は無理だ。すると先生は言った。

「手術ができない場合、モーズ軟膏を塗る方法があります。」

ガンそのものをどうにかするものではないが、時間をかけて腫瘍を小さくしていくとのこと。腫瘍がなくなれば、膿んだり出血したりと言うことがなくなるので、猫、飼い主双方の負担が激減するという。

「ただ、腫瘍がなくなるかどうかはやってみないと分かりません。」

週に1回、都度1万円の治療だ。上手くすれば4、5回で効果がみられると言う。

いずれにしろ現状、膿んで出血しているので、この処置としてモーズ軟膏をすることになった。

医師団も手袋ゴーグル使用の劇薬とのこと。午前中にエルを預け、午後迎えに行く。

 

塗布のついでに組織を取り、腫瘍の正体を調べてもらった。

迎えに行き説明を受けると、やはりしこりは乳腺腫瘍に間違いないとのこと。

レントゲンで転移は見られないが、恐らく細胞レベルの検査でわかる程度の転移が始まっていることが予想された。

待っている間に私も調べまくった。猫の乳腺腫瘍は悪性度が高く、速やかに転移する。

エルは19歳だ。もう治療するという選択肢は私にはない。

「治療したうえでの一年後の生存率は、3割程度です。その3割に掛けて手術をしても、年齢が年齢なので他の病気になっている可能性もある。」

先生も、積極的治療は勧めなかった。

その上で、先のモーズ軟膏の治療を進めるかということになる。

根本的な治療にはならないが、腫瘍による苦痛がなくなる可能性が高いならお願いしたい。自壊した場合の処置は、猫、飼い主共に、長く壮絶だ。できるなら避けたい。

 

ということで、来年からモーズ法に入る。

先生の話とネットの情報を総合して、余命は半年程度じゃないかと思われる。

突然の余命判明に、驚くばかりでまだ気持ちが追い付いていない。

エルは元気だ。歳は取ったけど、変わりなくいつものエルだ。

今できること。

ご飯をたくさん食べてもらう。

いつもと変わらず共に過ごす。

 

「準備期間があるだけでも良かったんだよ。」

娘が言った。

残りの時間を大切に過ごしたい。

 

腕枕。