久し振りに、ピアノを弾いた。
夏だ。
暑い。
普段人が入らない音楽室も、常に暑い。
エアコンはあるが、たかだか10分程度弾くのにつけるなど、冷えるのが早いか練習が終わるのが早いかというところである。
暑さでバテていることもあり、このところずっとサボっていたのだ。
つくづく夏とはこれである。もう色々返して。
で、久しぶりに弾いてみることにしたのだが、楽譜を開いても心躍らない。もう何ヶ月も同じ曲を弾いているのだ。
満足いく仕上がりにならないので、いつまでも練習、いや挑戦している。
小さな進歩はある。それは喜びだ。しかし、こう時間を開けてから向かう合ってみると、「またこれか」という気持ちだ。この曲への情熱が冷めていた。
ページめくりをしないで済むようにコピーを取って1枚に繋げていた楽譜を、小さくたたんだ。これをまた開く日が来るだろうか。
さて。何を弾くか。
厄介者を遠ざけたところである。こんな時の気持ちはいい。選べるのだ。今なら何だっていい。
本棚から1冊引き出して来る。このところポップスが続いていたから、クラシックにしよう。
それは、このピアノを買った時にオマケについてきたものだった。いわゆるクラシックの定番集。
最初の方のページは初心者向けに易しくアレンジしてあったが、私はこの「アレンジ」というものがあまり好きではない。本物を弾きたいのである。
しかし、「カノン」「テンペスト第3楽章」「華麗なる大円舞曲」・・・、私がまともに本物を弾ける日などこないだろうラインナップだ。簡単に弾かせてくれるなら、やってみようじゃないか。
これが、少ない音でちゃんとそれらしくなっていて楽しい。凄いなアレンジ。
続いて連弾が挟まって、後半のページはアレンジなしの原曲そのまま譜となる。
定番である。弾いたこともある曲も多かった。
「エリーゼのために」。ピアノ弾きなら一度は食いつく曲だ。ちゃんと弾こうとしたらいくらでも難易度は上がるが、何となく弾くぐらいなら割と何とかなるというお得な一曲である。
故にちょいちょい弾いていたのだ。もう暗譜で弾けるぐらいだが、なんと、まともに弾けなくなっていた。
指は、覚えている。しかし思うとおりに動かないのである。
まぁ当然と言えば当然だ。もう以前のように頻繁に弾いてないのだ。これですんなり弾けたら誰しも練習いらずである。それでもショックはあった。究極のハッタリソングがとうとう弾けなくなった。
ところがページをめくっていくと、究極のハッタリファイナルが出て来たの思わず私は微笑んでしまった。
「月光 第1楽章」。テンポは遅く、ひたすら「タタタタタタ」である。
もちろんこれとてきちんと弾こうとすればいくらでも難易度は上がる。それでも比較的「聴かせ」やすい曲だ。困った時の月光である。それこそ良く弾いたものだ。
ところがだ。
この月光ですら、思うように弾けないのである。私は愕然とした。私史上最低の月光であった。
まずい。
このままでは取り返しのつかないレベルになる。
15分。
一日15分を死守する。
月光を死守する。
カレンダーを買って来て、シールを貼って行こうと思う。←単純なので、効果があるのだ(笑)
頑張ります。