タイトルの通り、鳥、虫、魚、動物・・・様々な生物の生と死を書いている本だ。
生態についての本は多いと思うが、「死にざま」である。確かにみんな、いかように死んでいくのだろうか?
知りたくなった。
どれもその意外な生態、死に様が興味深い。1種1話の短編なので、サクサク飽きずに読めた。
その生態・死にざまにとどまらず、細胞分裂、遺伝子などから紐解く老化や寿命のプログラムも分かりやすく書かれ、面白かった。
全生物最終共通祖先ルカから始まる、生物の歴史。コピーを繰り返す単細胞生物から性別が分かれて命が生まれ、死の概念も生まれたという。
しかし人間は細胞分裂を繰り返しているだけなのに老化していくのは、老化する必要があるからそうプログラムされているらしい。老化して、死んでいかなくてかならない必要があるのだ。
次の世代に子孫を残す、それだけが人間の使命なのかもしれない。
同じように、どの生物も子孫を残せるようそれぞれの生き方がある。
愛玩動物となった犬の話で、本は終わっていた。命について、考えさせられた。
著者は植物学者とのことで、モノ書きではない。
だからか、文章が矛盾したりおかしいところがちょいちょいあったりするのが気になった。
ドラマティックに描く必要はないから、学者さんらしくそのまま事実だけを無理なく書いた方が良かったのでは?
その点だけが残念。
ぽ子のオススメ度 ★★★★☆
「生き物の死にざま」 稲垣栄洋
草思社文庫