スーパーの地元野菜売り場を見て、衝動買いしてしまった。
セリ(と思しきもの)だ。
去年セリ蕎麦を作ってみたところ、セリが全然美味しくなかったのである。
レシピでは栗原はるみさんが「ぼやぼやしてると、姿は同じでもかたく筋っぽいものになってしまうので」と語っていた。どうやらぼやぼやしてしまったらしい。
なぜか私は、春の野菜が苦手だ。なのでセリなど買ったのは初めてのことだったのだ。お店のセリはシャンとしていかにも新鮮に見え、野菜好きなダンナが喜ぶかもと買ったのだった。
食べたところ、想像したようなクセもなかったので、はるみさんの言うところの「香りも歯ざわりもとびきりおいしいときに」食べたいと思っていたのだ。そしてまた、次の春がやって来たのであった。
袋には「季節野菜」としか書かれていないのが心配だったが、やはり失敗した。これはセリではなくフキであった(笑)念のため、フキを買ったのも初めてのことである。
これは困った。セリをフキに変えてフキ蕎麦って訳にはいかんだろうか。セリ蕎麦のレシピでは、セリを生でトッピングするようになっていた。そのままフキで代用できないだろうか?
ネットでフキの調理法を調べてみて、私は落胆する。とんでもないものを買ってしまった。
フキはエグみが強い野菜で、しっかりしたあく抜きが必要。
特に葉の方は毒素を多く含んでるため、丁寧にあく抜きせよとのことである。
その上、茎は皮を剥けと。
ウンザリするような工程は、こうだ。
・葉と茎とを分ける。
・茎は塩ずりする。
・口径の大きな鍋で茎を茹でる。
・水に取る。10分の間に何度か水を変える。
・葉の方は、10秒ほど茹でる。湯を変えて3回繰り返す。
・水に浸す。サイトによってはひと晩というものもあった。
工程も味も、セリの代用という訳にはいかなくなった。
そもそもエグみの強い野菜は、私の苦手なものである。実は子供の頃に凄くクセの強い野菜を食べ、吐きそうになったことがあった。恐らくそれはウドだろうと踏んでいたが、このフキを一口食べてみて分かった。あれは「フキ」だ(笑)長年私が避けていたあの味である。
幸いダンナがこういう野菜が好きなので、これはダンナに押し付けることで解決するだろう。
しかしだ。皮を剥く段階で私はもう捨てたくなってしまった。面倒過ぎる。面倒なだけでなく、皮を剥いたらいくらも残らないのである。
この作業、何とかならんものかと調べてみたら、どうやらこのフキ、まだ若いようで、皮は剥かなくても食べられそうである。葉も然りで、あんなに何度も湯がかなくてもよかったみたいだ。
しかしもうこの時点で、私は心底グッタリしていた。誓う。もう二度とフキなんか買わない。私はそれを学ぶために今日、こんなミスを犯してしまったのだ。
調理時間を無駄にしたし、精神的にも消耗した。口の中もエグいことになった。モンダミンも消耗した。
しかし、失敗は学習だ。私はフキを買うべきではないと、否、「正体の分からないまま買うべきではない」と学んだ。
とは言え、正体が分からなかったから、フキの下処理をしたり誤って食べたりする機会に恵まれたのだ。これは貴重な経験かもしれない。となると私の学びは「正体の分からないものはどんどん買え」ということになる。
人生は面白い。
私はまた、やらかすだろう。
それはまた、私の人生を豊かにするだろう。
失敗も、悪くない。