人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

セリ、と思しきもの

スーパーの地元野菜売り場を見て、衝動買いしてしまった。

セリ(と思しきもの)だ。

去年セリ蕎麦を作ってみたところ、セリが全然美味しくなかったのである。

レシピでは栗原はるみさんが「ぼやぼやしてると、姿は同じでもかたく筋っぽいものになってしまうので」と語っていた。どうやらぼやぼやしてしまったらしい。

なぜか私は、春の野菜が苦手だ。なのでセリなど買ったのは初めてのことだったのだ。お店のセリはシャンとしていかにも新鮮に見え、野菜好きなダンナが喜ぶかもと買ったのだった。

食べたところ、想像したようなクセもなかったので、はるみさんの言うところの「香りも歯ざわりもとびきりおいしいときに」食べたいと思っていたのだ。そしてまた、次の春がやって来たのであった。

 

袋には「季節野菜」としか書かれていないのが心配だったが、やはり失敗した。これはセリではなくフキであった(笑)念のため、フキを買ったのも初めてのことである。

 

これは困った。セリをフキに変えてフキ蕎麦って訳にはいかんだろうか。セリ蕎麦のレシピでは、セリを生でトッピングするようになっていた。そのままフキで代用できないだろうか?

ネットでフキの調理法を調べてみて、私は落胆する。とんでもないものを買ってしまった。

フキはエグみが強い野菜で、しっかりしたあく抜きが必要。

特に葉の方は毒素を多く含んでるため、丁寧にあく抜きせよとのことである。

その上、茎は皮を剥けと。

ウンザリするような工程は、こうだ。

・葉と茎とを分ける。

・茎は塩ずりする。

・口径の大きな鍋で茎を茹でる。

・水に取る。10分の間に何度か水を変える。

・葉の方は、10秒ほど茹でる。湯を変えて3回繰り返す。

・水に浸す。サイトによってはひと晩というものもあった。

 

工程も味も、セリの代用という訳にはいかなくなった。

そもそもエグみの強い野菜は、私の苦手なものである。実は子供の頃に凄くクセの強い野菜を食べ、吐きそうになったことがあった。恐らくそれはウドだろうと踏んでいたが、このフキを一口食べてみて分かった。あれは「フキ」だ(笑)長年私が避けていたあの味である。

 

幸いダンナがこういう野菜が好きなので、これはダンナに押し付けることで解決するだろう。

しかしだ。皮を剥く段階で私はもう捨てたくなってしまった。面倒過ぎる。面倒なだけでなく、皮を剥いたらいくらも残らないのである。

この作業、何とかならんものかと調べてみたら、どうやらこのフキ、まだ若いようで、皮は剥かなくても食べられそうである。葉も然りで、あんなに何度も湯がかなくてもよかったみたいだ。

 

しかしもうこの時点で、私は心底グッタリしていた。誓う。もう二度とフキなんか買わない。私はそれを学ぶために今日、こんなミスを犯してしまったのだ。

調理時間を無駄にしたし、精神的にも消耗した。口の中もエグいことになった。モンダミンも消耗した。

しかし、失敗は学習だ。私はフキを買うべきではないと、否、「正体の分からないまま買うべきではない」と学んだ。

とは言え、正体が分からなかったから、フキの下処理をしたり誤って食べたりする機会に恵まれたのだ。これは貴重な経験かもしれない。となると私の学びは「正体の分からないものはどんどん買え」ということになる。

 

人生は面白い。

私はまた、やらかすだろう。

それはまた、私の人生を豊かにするだろう。

失敗も、悪くない。