ない。
分かっていても同じ動作を何度も繰り返してしまうのは、認めたくないからである。
私はまた、冷蔵庫を開けた。
相変らず食べられるもの、食べられないものがごちゃごちゃ入っているが、昼ご飯がないのである。厳密に言うと、残り物がないということだ。
私は通常、わざわざ自分だけのために調理はしない。だから晩ご飯を多めに作って翌日の昼にも回るようにしているのだが、無い日もある。それが昨日だった。前日は総菜だ。焼き鳥に刺身、唐揚げ、ときて、このラインナップは絶対飲むだろうと踏んでいたら、ダンナは飲まない、と言った。なかなかな肩透かしである(笑)
お陰で昨日は朝からパリッとできたのはいいが、昼ご飯がない。
こんな時は頑張って自炊して料理の経験値を上げる、などと言ったような気もするが、家にある材料は中途半端な野菜だけ。
しょうがない、何か買って来るか。
予算としては、200円を超えたくないところだ。いつも残り物で凌いでいたのである。残り物とて材料費はかかっているが、わざわざ発生しないあたりタダ同然とみなす。
しかし、そんな都合の良いものはなかなかない。
総菜で200円以内となると、コロッケだ。ジャガイモのコロッケはあまり好きじゃない。
私の好きなメンチカツになるとなぜか3個単位になっていて、そのぶん値段も上がっている。クリームコロッケはそのものが高い。
仕方がない、また餃子を焼くか。しかしこのあと、動物病院に行く予定が入っていた。色気を出すような場面でもないが、やはり今後も何度も会う間柄となると悪臭は控えたい。
90円めっけ。
値段が値段だ。雑なシューマイにしか見えない。56歳の主婦の昼ご飯として、結構情けないものがある。
やはり調理がいいのか。しかしなかなか200円の肉や魚はない。
・・・・・が、206円はあった。
ちか。誰かの元カノと同じ名前だ。
こうなったらこれを、自力で調理してみせる。事前情報なしだ。答え合わせは後。
私はこれを、唐揚げにすることにした。案外つまらないチョイスだが、時間がないのだ。残り物を食べていただけの時間で、調理もしなくてはならないのである。
下処理とかも分からない。でも、こうなったら分からない方がおもしろい。
まず触ってみてウロコの感触はなかったので、ワタを出すことにした。
包丁が切れないこともあって、切り口は潰れた。その中からワタを出すと、一緒に卵も引きずり出されてきたのだ。
こ、これは、もったいないやつか。
しかし卵を残してワタだけ取るのは難しそうである。ワタ込みで調理するか、卵を諦めるか。
当然前者だ(笑)このまま丸揚げにしてやる。おっと。念のためエラを取っておくか。何の意味があるかは知らんが、魚の調理によく出てくる工程である。思えば学校の授業とは、このように理由も分からずやることの繰り返しであった。
味付け。塩こしょう。魚がつるつるで、全く馴染まない。仕方ない、量を多めで。
小麦粉をまぶす。馴染まん!このツルッパゲ!!
これを油で揚げた。時間は適当。大きいものは結構大きかったので、割とじっくり。
できた。
う~ん、やはり衣が薄付きである。味も薄かった。
ネットのレシピで答え合わせをしたら、ワタごとはOK、骨も頭も食べられるとのこと。粉は小麦粉ではなく片栗粉が大多数。まぁでも、大きな失敗はなかったようである。
フワフワで美味しそうな魚であった。美味しいと言い切れないのは、もっと上手く調理すれば美味しいだろうというところからだ。
何と言うか、パリッとサクッという揚がった感じに乏しく、味も薄いために何とも腑抜け。マリネにしたら良さそうな感じだ。
ということで、成功とはならなかったが、レシピ通りに作って成功するよりも色々と発見があった。
ちなみに調理時間は約15分。ただ、片付けがちょっと大変だった。いつも残り物を食べるだけだからね←しつこい
いやいや、経験値は上がったはずだ。村人からまた一歩、勇者に近づいたのである・・・・・。