作家の伊集院静氏が亡くなったのは、去年の11月。
私はその人のことを全然知らなかったので、それは私にとって衝撃的なニュースにはならなかった。
それでもしばらくはそこここで話題に上っており、目にすることも多かったのだ。
これはそんな頃、新聞の書評で知った本だった。
”こんなとき、大人ならどう考え、どう振る舞うのだろう。「本物の大人」になりたいあなたに捧げる、この一冊。”
本にも、相性はある。まず、私の一番苦手とするタイプの物言いであった。
自信に溢れるが故、断定的で、ともすれば人を見下すような言い草。
こういうのが美学として通ったのは、私に言わせれば昭和だ。
「それが男のスポーツだ。それが分からない今の若い野球選手はどうしようもない。」勝ちが決まっている試合なんだから、相手チームにも華を持たせろ、というのである。
なるほど、そういうものの考え方があるのも分かるが、言い方よ言い方。
名言も、共感できなければ価値は生まれない。
自分は幾多もの修羅場を潜り抜けて来たんだからドヤァ的な臭いが、そこここから滲み出ていて、私には共感できなかった。
亡くなった方のことを悪く言いたくはないが、あくまでも本の感想として。私の正直な気持ちである。
ぽ子のオススメ度 ★☆☆☆☆
「大人の流儀」 伊集院静
講談社