人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

嘔吐、食欲低下<2>

結局エルは、少しばかり「本気の大好物」を食べ、吐いた。

もうエルは、食べられないのだ。

新しく出すご飯には口をつけるが、食べても吐いてしまう。そして2度目はない。

トリガラのゆで汁を少しばかり飲んで、そしてやはり2度目はなく、水分もとれていない。

先立ったミュウやラッキーの時と、同じだ。これは、「終わりの始まり」なのか。

エルはもうすぐ18歳になる。人間なら88歳程度とのことだ。甲状腺機能亢進症にもなっている。辛いがエルに負担をかける延命は、考えていない。

判断を誤るといけないので、最後に一度は病院に行くつもりではあった。そしてそこで、自然に看取りたいと伝えるつもりだった。

 

そんな覚悟を決めはしたのだが、どうも、食べられない以外に調子が悪いように見えないのである。

そもそももう食べる以外は寝てばかりだったので、「元気がない」は普通の状態だ。

しかし、表情はいい。コロンとひっくり返って眠る。撫でれば喉を鳴らす。ご飯を持って行けば、目を輝かせて寄って来る。ただ、食べない。それだけなのである。

以前、謎に食べなくなったことがあった。その時と同じと言えば同じでもある。

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しかしこのまま食べもしない、飲みもしないでは、現状が元気でもこれから弱ってくことになるだろう。元気なうちに病院にいくことにした。

 

病院ではやはり「表情はしっかりしてますね」と言われ、皮下点滴と吐き気止めの処置だけしてもらった。

これで良くならなかったら、検査と言うことになりそうだ。

ここが私の選択の時になるだろう。

 

ひと晩経ったが、今のところ変化は見られない。

ただ、変わらず表情は良く、いつものように過ごしてはいる。

延命しなかったミュウの余命は、ここからたったの一週間であった。

エルは、どこへ行こうとしているのか。

どうしても、まだそんなに悪い状態には思えない。思いたくない。