その後。
不思議なことに私は、とてつもない喪失感に見舞われていた。
単純に物事にハマりやすいタチなので、もれなくどのゲームも夢中になり、もれなくどのゲームのクリア後にも喪失感を味わった。
しかし今回は、その比ではない。切なくて、悲しくて、仕方がない。
物語はハッピーエンドだ。なぜこんな思いになるのだろう。
考えてみるとこれは、子供の頃好きだったアニメの最終回を見た時の気持ちに似ていた。
昔から、没頭しやすい性格であった。その世界観にどっぷり浸かっていたのだろう。その終わりはその世界との別れなのだ。悲しくて、忘れたくなくて、しばらく思い返してはその喪失をかみしめたものだ。
今もまた、あの世界から離れたくなくてトロコンでもう1周することにしたのだが、それは全く別物であることに気が付いた。
私はもう、この物語を知っている。これはもう冒険ではなく、ただのゲームになってしまったのだ。
あの猫は、私だった。
私はあの猫になり、あの世界をさまよい、彼らと別れを告げた。
たくさんの、いい場面があった。それなのに一番印象的だったのは、最後の最後、アウトサイドに着いた猫がこちらを向いた時だった。
あれは、私と猫の別れだったのかもしれない。
どうしてこんなに猫に感情移入したのだろうか。
猫は、言葉を喋らなかった。
突出したキャラクター性もなく、ただの猫だった。故に、自分を投影しやすかったのだろう。
「可愛い」と俯瞰しながら、気づかぬうちに私は猫になっていたようである。
クレメンタインとの別れも、B-12との別れも悲しかったが、一番切なくさせるのはあのラストだった。
まだこの気持ちと、折り合いをつけることができないでいる。
改めて、素晴らしいゲームだった。
素晴らしい世界だった。
永久に、さようなら。