サバイバル家族の次は、万引き家族だ!
監督:是枝裕和
キャスト:リリー・フランキー 、安藤サクラ
年老いた母親の年金をあてにして暮らしている、治の夫婦。
自分自身の稼ぎは少なく、日常的に万引きなどしつつ、底辺の暮らしを送っていた。
散らかった部屋。カップ麺。古い家具。
昭和のまま時間が止まったような小さな家で、”なぜか”5人で暮らしていた。
そんな苦しい生活のなか治たちは、虐待されている子供を連れてきてしまう。
そしてその子は、当たり前のように家族になっていった。
捜索願いすら出されないような親に育てられたその子は、治の家で少しずつ笑顔を取り戻していく。
やがてこの子も万引きに手を染めるが、勝手に連れてきて育てているこの5歳の「ゆり」、学校へも行かずにゆりの兄貴役を務める「祥太」、治の母の孫で風俗店に勤める「亜紀」、そして治とその妻「信代」と治の年老いた母親。6人のギリギリの生活はとうとう破綻する。
その原因は、貧困ではない。
強いて言うなら「無知」か「無垢」か。こんな生活は、いつまでも続けられるものじゃなかったのだ・・・。
虐待された子を保護するなどと言うと美談だが、彼らの場合、「可哀相じゃん、連れて来ちゃった」ぐらいな認識なのである。
物を盗むことに罪悪感はなくとも、弱い者を守るということは身についている。それはあまりにも自然で、あまりにも多くのことが後回しにされていた。そして彼らはそれに思い当たることができない。
この危うくはかない幸福に、胸を打たれた。
「幸せな家庭」とは何か。「子供に必要なもの」は何か。多くのものを忘れかけている私達に、この作品は問うているように感じる。
「無知」か、「無垢」か。
紙一重なのではないだろうか。
ぽ子のオススメ度 ★★★★☆
ダンナのオススメ度 ★★★☆☆