人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

魅惑のレーズンバター

「レーズンバター、ポチッてもいいですかね・・・。」

遠慮がちにダンナが言った。

レーズンバターが大好きなのである。子供の頃、お義父さんがお酒のつまみに食べていたのを貰っていたようで、まぁあんなの、つまみと言えどおやつだ。砂糖バターなんて、とても罪な菓子である。

別にポチれば良かろうに、ダンナが弱気だったのは、それがちょっと高いものだったからである。SNSの広告で出てきたもので、数種類の詰め合わせになった、ちょっとした高級菓子となっていた。

別に私は痛くも痒くもない。何なら家飲みへといざなう天使。半分は私が食べますし。

こうして翌日には「レーズンバター、ポチっちゃった💗」と、嬉しそうなLINEが来たのであった。

 

「あ!来るよ!」

それは数日後、ラーメンを食べている時だった。

「レーズンバター、『持ち出し』になった!もうすぐ来る!」

レーズンバター、追跡してたのか。どんだけ焦がれてるんだって。

「良かったね、楽しみだね。」

ではなかった。

「今来ちゃったらどうしよう!!」

別に再配達してもらえばいいだけだと思うが。

 

ラーメンを食べ終わり、自転車で家に向かっていると、家の近くにヤマトのトラックが停まっていた。

「ああっ!!もしかして!!」ダンナは自転車のスピードを上げ、私を置いてサッサと帰ってしまった。

ところが件の配送屋は、なかなか現れない。

「違ったのかなぁ・・・。じゃ、トイレ行ってくるよ。」と言ったところで、インターフォンが鳴った。

いつもなら私が応対するところだが、ダンナがサッと出て行った。トイレどうした。

 

「・・・・・・・小せぇ。」

ダンナは縦10センチ横15センチほどの小箱を持って戻って来た。

小さくて高い、ということは、それだけモノがいいという考え方もあるじゃないか。調べてみたら、ひとりで生産から発送まで全てやっているこだわりのレーズンバターとのことだ。月に一度しか販売しないようである。

 

さて、明日は祝日だ。

頂き物のワインもあるし、こうなると明日の過ごし方はもう決まった。

あとは繁忙期のダンナが出勤にならないことを祈るばかりである。