今週のお題「最近おもしろかった本」
読んだ本の感想は、読み終わる都度にここにアップしている。どうしても重複してしまうので、その中から「振り返ってお勧めしたい一冊」をご紹介したい。
どうせなら、誰かがお薦めしているようなメジャーなものではなく、珍しいものがいい。
我らが音楽仲間、目黒さんが描いた本だ。
知り合いだから推すんじゃないぞ、そこは信じて欲しい!本当に凄く面白かったのだ。
kindle版のみになるが、360円でサクッと手軽に読める作品である。
1994年。
色々と思うところがあり、思い切って会社を辞めてアメリカの音楽学校に留学することを決めた目黒さんは、当時28歳。単身、ハリウッドに渡る。
夢と希望を胸に始まったその生活はしかし、思い描いていたものとは全く違うものとなった。
毎晩のように押し掛けて来るヨーロッパ勢の「多国籍軍」に勉強の妨害をされ、夜道を歩けばカツアゲに合い、言葉もままならないままの授業はついていくのもやっと。
そんな日常を、見栄を張らず等身大に描いていることに好感が持てる。そこにいるのは野望に燃えた一匹狼などではなく、戸惑い、失敗し、被害を被ってばかりの日本人だ。そこにおっとりとした目黒さんの人柄が垣間見え、とても心地が良いのである。
旅行記ではなく生活、それもアメリカに於けるヨーロッパの人達との同居、しかも彼らは若く、無謀だ(笑)他人ごとだから言えることだが、面白かった。
温厚な目黒さんがとうとうブチ切れするシーンは、爽快で感動的ですらあった。
「外国にいたらいちいち不快なことはその都度言わないと、自分の境遇はどんどん悪くなっていくばかり」という言葉が、日本人としては新鮮に映る。そんなカルチャーショックを目黒さんと共に感じることができる1冊だ。
体験記の後に、「裏・JOY」としてもうちょっと突っ込んだ話が加えられている。補足的な役割もあり、全体像が見えやすくなっている。読み応えとしても、いい感じだ。
kindleというスタイルもあり、軽くサクッと読める作品である。
いい評価をつけるが、知り合いであることを差し引いた正直な評価であります。ホントに面白かった!