人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

異人たちとの夏

今週のお題「夏といえば、この作品だ!」

 

夏。

 

縁側で食べるスイカ。

蚊取り線香に朝顔。

寝っ転がって扇風機に当たりつつまどろむ。

なぜか夏と言って浮かぶ風景は、昭和の懐かしい時代である。

歳を取ったのか、ワクワクするような季節というよりも、失った季節になってしまった。お盆の行事などやってみたせいか。

 

そんな思いが重なる作品が、「異人たちとの夏」だ。

妻と別れ、一人暮らしていた主人公の原田は、昔住んでいた浅草で死んだ両親と出会う。

変わらぬ両親は、40歳の原田を子供のように扱うのだ。あの頃のまま。

原田は、昔住んでいたこの家に通うようになる。

家も、両親も、あの頃のまま。

夏。

昭和の、いい時代だ。

私が過ごした子供時代よりももっと古いが、それでもどこか懐かしくなる。

失われた風景。

失われた思い出。

それが取り戻せるなら、戻ってしまいたくもなる。

 

作品としては、いささか古臭くなってしまった部分も多い。

それでも、異人たちとの夏は郷愁を呼び起こし、私をも誘う。

 

昔過ごした家に、行きたくなった。