「モフる」という言葉をご存じだろうか。主に猫好きの間で使われる言葉だが、その中にいる自分には一体この言葉がいかほど世間に通じるのか、想像もつかない。
猫の体に顔をうずめたりもみくちゃにしたりと、そのモフモフした触感を堪能することをいう。
猫は柔らかく、温かい。臭いもないと言われるが、飼い主だけが感じる「匂い」はあると思う。動物臭とは違う、生物臭とでもいうか。生きている、という匂い。
猫は、犬のように忍耐強くない。モフるにも、コツがいる。彼らの機嫌を損ねぬようモフらないと、容赦なく猫キックを見舞われることになるだろう。
モフを許しすらしない猫もいるのだ。モフれるということは、彼らの「許可」があり、「信頼」があるという証でもある。猫の温もりに埋もれながら、至福の時を過ごす。
最も難易度が高いモフポイントは、お腹だ。彼らが一番最後に許す場所であり、間違えるとキック・引っ掻き・噛みつきのトリプル攻撃がいとも簡単に入る場所なのだ。
しかしこちらの満足度も最上級のポイントでもある。
寝込みを襲えば、不可能ではない。どれほど許されるかは、猫の性格と信頼度によるだろう。
死んでしまったラッキーは、ホントに何をやっても怒らない子であった。気位の高いミュウに腹モフは、できなかったなぁ。
エルは、寝ぼけていればそこそこ。大五郎はちょっと怖い(笑)
そんな大五郎が、窓際でテロンと伸びて寝ていたのだ。
リビングの大きな窓から日が注ぎ、暖かい午後であった。
「♪」
チャンスだ。
私は良く猫で脱線するが、こうしてまたいとも簡単に大五郎に釣られてしまった。
私は、寝ている大五郎に覆いかぶさる。
まずは頭を撫で、大人しくしているので首周りをもみくちゃにしてから、おもむろに額にチュウをした。
オッケーか。
お腹を揉みしだく。
前にも書いたが、猫の弱点で嫌がると言われるお腹も、許されれば「悶絶ポイント」なのである。大五郎の体がグンと伸び、喉からゴロゴロという音が聞こえてくる。
私は覆いかぶさったままツンと尻を上げ、いよいよ大五郎のお腹に顔を突っ込んでみる。
おぉ・・・、許された。許された喜びと、モフの快感とで得も言われぬ至福だ。
やがて大五郎は、ガバッと体を起こす。終了の合図である。
深追いは禁物じゃ、大五郎よご馳走様、と立ち上がり外を見ると、・・・お向かいさんがこちらを見ているのが見えた。
カーテンが開いていたのだ。しまった、快楽に溺れて周りが見えなくなっていた。
お向かいさんも猫飼いであるのが救いだ。ね、分かりますよね!?と言いたい。
モフ上の注意事項は色々あるが、改めて。
モフモフは、まわりを良く見てからやりましょう。