人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

ワクチンとタイル

たった今、父から電話があったんだが、ちょっと何が何だか良く分からなくて・・・・・・。

午前10時にもならない時間だ。こんな時間に向こうからかけて来るのは珍しい。

まずは3回目のワクチンについて、聞かれる。

父はあまり気が進まないようで、お前はどうするのか?と。

私は前回の接種が遅かったので、打つにしてもまだ先の話になる。考えてもいなかった。

迷う父に何を言うべきか。

逆らいません(笑)

ワクチン効かねぇみたいじゃないか。「そうなの?」

なんか評判良くないらしいぞ。「へぇ。」

だからオレほんとやあんまりやりたくねぇんだけどさぁ。「そうだねぇ。」

前に衝突したのは、医者の悪口からだ(笑)私はボヨンボヨンの柔らかいクッションとなる。

結局父はすでに予約は取ってあるみたいで、「仕方ねぇからと思ってんだけど。」と、まぁ観念している様子。

正直なところ、本音を聞かれたところで私には答えようがない。どっちがいいかなんて、結果が出ないと分からないことだ。後悔のないよう、自分で良く考えて答えを出すしかないだろう。

どんなリスクも単なる確率で、それに当たるかどうかは運でしかない。

「それと、今日はオレ、ぽ子にぜひ話しておきたいことがあってな。」

ワクチンの話は、唐突に呆気なく終わった。もしかしたら単なるおまけだったのかと思うぐらいだ。「本題」に備える。なんだ?改まって。

「テレビでやってたんだけど、タイルだ。お前、タイルって知ってるか?あの風呂場の壁とかになってるやつ。」最近はあまり見ませんがね。しかし、タイル?

「あのタイルが、なんとだよ、野菜のクズからできるようになったっていうんだよ!」

「は?」

「それが、物凄く硬いんだってさ。コンクリートなんかよりも硬いって。」

(これが「本題」なのか?)

「で、だ。お前の喜びそうな話なんだが、」

(「本題」か?)

「このタイル、食えるらしいんだよ!お前、好きだろうなと思って。そのままじゃ硬いから、汁に浸してだかしてバリバリ食うらしい!猫のエサなんかよりもいいぞ。」

「え?」

父は嬉しそうだ。

確かに以前、猫のエサは人間が食べられるのか、という話をしたことがあり、レトルトなんかはつまみになるぐらい美味しい(ただし薄味)と言ったことがあった。

父はかなり衝撃を受けていたが、どう考えてもタイルよりマシだろ。

リアクションに困りまごついていると、「じゃあそういうことで、元気でな。さようなら。」と父。この頃長電話に気を付けているようで、いつも電話は急に終わる。私は「面白い話だったよ、お元気で。」と返し、電話は切れた。

不思議な電話だった。

狐にでもつままれたような気持だ。