ダンナがギターを弾かなくなって、久しい。
厳密にはリハのための練習などはしているようなので全く触れていない訳ではないのだが、自分で好きな曲を練習する姿を、とんと見ていない。
一度始めるとしばらく続くので、波があるようである。
アコースティックギターの音色が好きな自分としては、少し寂しいところだ。
時に私の方は今ピアノブームが到来していて(波があるのである笑)、絶やさず練習をしている。
ガコンガコン鳴る電子ピアノを買い替え、昨日新しいものが届いたのだ。ますます熱が入ることだろう。
何とかダンナのギター魂にまた火が灯らないかと、聴きたい曲をリクエストしたのだ。
「カバティーナ」。
古い映画、「ディア・ハンター」のエンディングテーマである。
どこか郷愁を誘うような、優しく穏やかなメロディ。
戦地に残してきた親友は死んだ。
あの頃の仲間たちと集まって、弔う。そこに悲壮なものはなく、みんな穏やかに語り合っていた。そしてカバティーナ。
私の死後も、こんな風にあって欲しい。ディア・ハンターの映画を観るにつけ、思う。
この理想の弔いはカバティーナのメロディとしっかり結びついてしまい、聴くと何とも言えない気持ちになる。
切ないような、悲しいような、嬉しいような、仕方がないような、懐かしいような、憧れるような、いずれにしろそれは、心地の良いものだ。
ある日音楽室に入ると、ダウンロードされた「カバティーナ」の楽譜が置いてあったのだ。
目の前で聴ける日も、そう遠くないかもしれない。