苦しい。息ができない。
私は混乱した。
布団の中でもがきつつ、コロナの恐怖がよぎる。「死んだ方がまし」というほどの苦痛。まさにそれだ。このままずっと息ができなかったら、私もそう思う事だろう。
苦しい。苦しい。それだけで頭がいっぱいだ。コロナの重症化とはこういうことか。頑張れもクソもない、もう勘弁してくれ、それだけである。
ガバッと体を起こす。
息はできたが、相変わらず激しい不快感がまとわりついていた。
呼吸ではない。それは口の中だった。
口を開けて寝ていたらしく、口内はすっかり乾ききっていた。
なんとか潤そうと思うのだが、乾ききって少しの唾液も出ないのである。
喉を鳴らそうにも飲み下すものがないので、激しい渇望感だけが空回りする。
自分の体が思うようにならない不自由は、恐怖を生んだ。
混乱した頭がやっとその片隅で「単にアホヅラかいて寝ていただけ」ということに思い当たると、枕元の水を口に運ぶ。毎晩クスリを飲んでいるので、ここにあったのだ。こんな時には酸素吸入器ほどのありがたさである。
それを少しずつ、ゆっくりと飲み下していく。
はぁびっくりした。ほんと死ぬかと思った。口開けて寝てただけだが。
しかし強く思った。
絶対にコロナで重症化になんかなりたくない!!
口が乾いただけであの騒ぎである。またあんなんなったら私はいとも簡単に死を望むだろう。
コロナなんて怖くないという方。ぜひ鼻を塞いで寝てみてください。重症化の練習できますよ。
は~、ブリーズライト買ってこよ・・・。