小説の方を読んで衝撃を受けたので、映画版も観たくなったのである。
「介護人」として働くキャシーは28歳になった。しかし自分もにももうそろそろ「その時」が来るだろう。
生まれたときから決められていた運命。それは当たり前のことで、迷いはない。
子供の頃を良く思い出すようになったのは、そのせいなのか。
1978年。ヘールシャムという特殊な施設で暮らした日々。
トム、ルース。初恋。そして決意。
重くのしかかる運命を前にして、ごく普通の少女として生きるキャシー。
トムも、ルースも、みんな運命を受け入れ、普通の人間として生きていた。
しかし彼らには、「普通」ではない決定的な違いがあったのだ・・・。
先に小説を読んでいたので、いわゆるネタバレからの鑑賞である。そのぶん鮮度が下がることを差し引いても、衝撃的な作品であった。
小説の雰囲気を損なわず、心の中で描いていた情景がそのまま映像になった感じだ。詩的で、どこか捉えどころがなく、美しい。
読み手に委ねられていた視覚的なものが具現化されたため、衝撃度はこちらの方が強かった。
小説を読み終わった時のモヤモヤした不思議な感覚はなく、ハッキリと切ない気持ちで思わず泣けた。
切ない、その一言に尽きる。
問題提起もあるのだろうが、それについて書くとネタバレになるのでここでは触れずにおく。
ぽ子のオススメ度 ★★★★★
ダンナのオススメ度 ★★★☆☆
・・・以下、ネタバレ感想・・・
ルースとトミーの最期がトラウマ級に切なかった!
心電図が止まろうとしていても放置、死んでしまっても気にも留めず。臓器さえ取り出せればいいというただの「モノ」だ。
そんな運命を受け止めながら、最後まで笑顔でいたトミー。
同じ人間なのに、臓器提供という目的で作られたクローンの定め。何が切ないって、彼らがその運命を自然に受け入れていることである。
私達と同じように笑い、幸せを感じ、感動したり失望したりしているというのに。