人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

わたしを離さないで

小説の方を読んで衝撃を受けたので、映画版も観たくなったのである。

 

    

 

「介護人」として働くキャシーは28歳になった。しかし自分もにももうそろそろ「その時」が来るだろう。

生まれたときから決められていた運命。それは当たり前のことで、迷いはない。

子供の頃を良く思い出すようになったのは、そのせいなのか。

1978年。ヘールシャムという特殊な施設で暮らした日々。

トム、ルース。初恋。そして決意。

重くのしかかる運命を前にして、ごく普通の少女として生きるキャシー。

トムも、ルースも、みんな運命を受け入れ、普通の人間として生きていた。

しかし彼らには、「普通」ではない決定的な違いがあったのだ・・・。

 

先に小説を読んでいたので、いわゆるネタバレからの鑑賞である。そのぶん鮮度が下がることを差し引いても、衝撃的な作品であった。

小説の雰囲気を損なわず、心の中で描いていた情景がそのまま映像になった感じだ。詩的で、どこか捉えどころがなく、美しい。

読み手に委ねられていた視覚的なものが具現化されたため、衝撃度はこちらの方が強かった。

小説を読み終わった時のモヤモヤした不思議な感覚はなく、ハッキリと切ない気持ちで思わず泣けた。

切ない、その一言に尽きる。

問題提起もあるのだろうが、それについて書くとネタバレになるのでここでは触れずにおく。

 

ぽ子のオススメ度 ★★★★★

ダンナのオススメ度 ★★★☆☆

 

 

・・・以下、ネタバレ感想・・・

 

ルースとトミーの最期がトラウマ級に切なかった!

 

心電図が止まろうとしていても放置、死んでしまっても気にも留めず。臓器さえ取り出せればいいというただの「モノ」だ。

そんな運命を受け止めながら、最後まで笑顔でいたトミー。

同じ人間なのに、臓器提供という目的で作られたクローンの定め。何が切ないって、彼らがその運命を自然に受け入れていることである。

私達と同じように笑い、幸せを感じ、感動したり失望したりしているというのに。