「それじゃダメ」じゃなくて、「こうしたら良くない?」。
物事には二面性がある。捉え方で良くも悪くもなるもので、ものも言いようだ。会話はポジティブな方が心地良い。
しかし家族間というのは遠慮のないもので、親、特に母親にはずいぶん否定されて育てられたものだ。お陰で自己肯定感が低い人間になってしまった。
それじゃダメ。
なんでそんなことするの。
違う。
ダメ。ダメ。ダメ。グズ。のろま。
やたら褒めないのは母の教育方針でもあったのだろうが、それにしても私に生きる価値はあったのかと思わされるほど、否定とダメ出しの連続であった。
「肯定」は、「否定しない」というだけのこと。
ずっとそうやって育ってきたから不満はなかったが、もうちょっと認めて欲しかったと今になって思う。自分に対して肯定的になれない。ネガティブな言葉ばかりを拾い、ポジティブな言葉の裏を読む。
そんな自分を他人はどう思うのかと、今度は勝手に自分を落とす。
生きる上で、ある程度の自信と安心感は必要なものだ。どちらもなければ、ネガティブにもなる。
合唱団での話だから、もう2、3年ほど前のことになる。
私は高いキーが全然出ないので、男声パートに入れてもらっていたのだ。
今通っているボイトレの先生がこの合唱の指導をしていたのだが、メンバーの自己紹介の時に、「低い声が綺麗なので男性パートに入っています」と紹介してくれたことが今でも忘れられない。
声なんか綺麗じゃない(笑)それでも「高い声が出ないから」と言わずにこういう言い方をしてくれたことに驚いたものだ。私もこんな言い方ができるようになりたいと思った。
言い方ばかりでなく先生は、言葉をゆったりと柔らかく発声する。いつも口角が上がっていて、表情は優しい。
会話は情報伝達ではなく、人と人との触れ合いだ。心地良い会話のできる先生からは、歌以外にも学ぶことがある。
ポジティブを発していきたい。