「もしもし??・・・・・お前なぁ・・・・。」
父からの電話は、父の家で兄と集まって飲んだ翌日にかかってきたのだ。何か忘れたかな?と思いつつ電話に出ると、「お前なぁ」である。
「??」
「お前、いつもいつもあんなに飲んで、ちゃんと家に帰れてるのか?俺はもう心配で心配で・・・。」
「ぶっ。」
「ホントに頼むよ、ホントになぁ・・・。」
そして知り合いが駅のホームに落ちて亡くなった話などが続く。
「(うるさくなってきたぞ)はいはい。」
「はいはいじゃなくてだな、自分が思ってるよりなぁ、」
「大丈夫大丈夫、いつもちゃんと帰ってるから!」
「そういうけどなぁ、俺は、」
「(うるさいぞ)うんうん、気を付ける気を付ける。」
「俺はもう心配なんだよぉ・・・。」
まるで思春期の娘を持つ親である。親と言うのは一生こんなものなのか。
私が成長してないということなのかもしれないが、私はこれからも変わらないだろう。
父の望みを叶えるとしたら、お酒を控えるか飲んでも酔わないかである。どっちも無理だ。
今後もこのやりとりは続いていくのだろう。
雨が降ったので、仕事帰りのダンナを駅まで車で迎えに行った時のことだ。
突き当りの角を曲がろうと思ったら、その角でバイクごと少年が倒れていたのだ。
車を降りて声をかけると、「らいりょうふれふ」とロレツが回らず、どうやら酔っている様子。らいりょうふと言いつつ起き上がる気配がない。
見たところコケたなど事故ではなさそうなので、彼はそこに置いて交番に行ったのだ。
結局警察が来る前に彼は、起きてどこかに去って行ってしまった。なのでこの件は「しょうがないですね」で終わったのだが、ふと父のことを思い出した。
あぁ私も大して変わらないのかな。
酔ってコケて救急車で運ばれたなんて、絶対に言えないな(笑)
いつまで経っても親不孝娘である。