「・・・あと1時間8分・・・。」
午前8時。これから朝ご飯を食べに行こうと言っていたところである。それに合わせたつもりだったが、あと1時間8分の足止めになってしまった。
核兵器ができるまでの時間だ(笑)
ゲーム上での話だが、これが出来上がるとオンライン上で世界中のプレイヤーが私の陣地を目掛けて来ることになる。その前に速やかに破棄したいのであった。そのためにこうして待ち構えていたのだが、1時間間違えていたらしい。
時に、予定していた朝ご飯は、ホテルバイキング並みのモーニングビュッフェ、シズラーであった。
「そんなに待ったら、次の予定に間に合わない。」
私の核兵器のために、シズラーが流れてしまった。
「でも今から食べに行くとなると、あと1時間で帰って来なきゃならないよ。」
言っている間にも、時間はどんどん過ぎていく。
結局、近所のすき家になった。シズラーがすき家に。
近所かつファストフードとなったので、時間はそんなに深刻ではなくなった。
帰りの車でダンナが「どこか寄るところある?」と聞いて来る。は?今!?核兵器できちゃうんですけど!!分かってる!?
「ドライブ行こうか♪」はいはい、その角を左に曲がるドライブをお願いします。
家に着くと、すぐにゲームを立ち上げる。あと数分。
待っていると長い時間だ。
核兵器が出来上がると、核保有者リストに私の名前が挙がる。
オンラインモードでは、敵の陣地に入って略奪を繰り返すゲームなのだが(だからオンラインモードはやりたくなかったのである)、核を持っていると抑止力になるのだ。
しかしプレイヤーは「核をゼロにする」という夢を持っている。
このゲーム上で核保有者がゼロになると、特別なイベントが起こるようになっているのだ。世界中の猛者たちが、核を保有者から奪って破棄して回っているのである。
で、なんで私がそんなものを作ったのかと言うと、トロフィーコンプリートという、いわゆる「お題」を全てクリアしたかっただけであった。お題の中に、核の開発と破棄が含まれていたのだ。
「できました」というアナウンスがあると、すぐに私はそれを廃棄した。
世界平和に近づいているんだろうか。
実はこの「核廃絶イベント」、私は見たことがあるのだ。
過去に何度かあったらしいが、それらは不正からの発生であることが分かっている。
しかしあの時は、全く騒がれなかった。
すぐにまた新しい核が作られてしまったが、一瞬でもゼロになった瞬間があったのだろうか。
未だに謎である。
地球上の核をゼロにしたいというヒロイズムが、実社会にもあることを信じたい。
その道のりは、ゲームよりもずっと難しそうである。