人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ただ、歌うためだけに。

ボイトレに行って来たのだ。

個人レッスンは3、4年ぶりになるだろうか。

歌はもう、やめたつもりだ。ボイトレに行ったところで何になるという迷いはあった。

しかし私の中で「歌」はまだまだ勉強中のままで、この先が見たいという欲求があった。

いずれアレンジで宅録のようなことをやっていくつもりなのだ、いつかは自分でそれを歌いたい気持ちも大きい。

その時に、勉強中・未完成の納得いかない歌にしたくない。

まぁ結論は置いておいて、迷うならまず行こうと思ったのであった。

えつさんのボイトレは、2度目だ。

合唱の指導もしていたので、私の欠点は良く分かっていた。

まるで、医者である。

声を聞くだけで、悪いところが分かってしまう。

自分でも「あ、今のちょっと」と思った時は、すぐにえつさんには分かるのだ。そして、「こうしてみて」と「処方」する。

すると不思議なことに、次はスーッと声が出るのである。まるで魔法だ。

まぁ問題だらけの私の歌だが、中でも「息が続かない問題」は長いこと患って来た。

これもやはり、発声だった。物理的にできないのではない、出し方である。

正しい発声になっていれば、どこにも負担はかからず気持ち良く声が出ることを実感した。

私に残されている可能性。

もっと上手くなれる余地があるのだ。

もちろんそれは単なる領域の問題で、努力なくして結果は出せないだろう。

しかしここに、手を引いてくれる人がいたのだ。

もう少し、先が見たくなった。

もう少し、挑戦してみたい。

今はまだ具体的な目標はないけど、

今はまだ目標は欲しくない。

ただ、歌うためだけに。