また父は、衝撃的なことを言った。
「トイレには神様がいるとか何とか言うじゃないか。まぁだからちょっとバチあたりなんだが、でもまずトイレに入ると唾吐くじゃねえか。」
まず??
「は??まず吐くって、普通吐かないでしょEE:AEB2F」
「いや、女の人はないかもしれんが、男はみんなやるんだよ。全員。」
「えーーーーっEE:AEB2F普通は分からないけど、うちの夫は絶対にそんなことはしないEE:AEB30」
思わずダンナのことを「夫」などと言ってしまった。そんな輩と一緒にされたくないという表れか、ちょっと上品な言い回し。
「いや、男はみんなやるんだよ、少なくとも『ほとんど』はそうだ。」
驚いたが、考えたことがなかっただけで、もしかしたらそんなものなのかもしれない。
気になったので、調べてみたのだ。
「トイレにつば」で検索すると、トップに挙がったのは「紳士たちが小用便器に向かう時、無意識に唾を吐いてしまう理由」であった・・・。
この記事を書いた人ももちろんそんな一人で、ある時「一体どれぐらいの人がトイレにつばを吐くのか」と数えてみたという。
データとして多くはないが、1回目の公衆トイレでは、7人中3人。半数近い。
知り合いに聞き取り調査をしたところ、20人中4人。20%。
今度はまた別の公衆トイレでは、15人まで数えたがゼロだったのでここで断念。
まずここで、父の「男はみんな」はそうでなかったことが分かった。
しかしこの結果に、唾を吐く心理が隠されていた。
2つの公衆トイレで全く違う結果になったが、実は1回目のトイレは古いトイレ、2回目のトイレは改装されたキレイなトイレだったという。なるほど2回目は、普段は唾を吐いているという当の本人も唾を吐かなかったという。
唾を吐きたくなるか否かは、トイレのクォリティにあるのではないかという結論であった。
となると、父はいつも汚いか古いトイレに入っているということになる。
いつも入っているトイレは、自宅のトイレのはずだ。
私も入ったことがあるが、まぁ特別綺麗ではなくとも、汚いというほど荒んではいなかった。
恐らく父にとってトイレは、クォリティ如何に関わらず「汚い場所」という潜在意識があるのではなかろうか。
それにしても、パブロフの犬みたいに条件反射で都合良く唾が出て来ることに、身体の神秘を感じる。
一体どのように刷り込まれたのだろうか。その経緯が知りたい。