久しぶりに、お店で飲んでいたのだ。
オープンと同時に満席になる人気店だったが、やはりコロナの影響か、少しばかり空席が残っていた。
私の隣も然り。
大きなテーブル席なので、相席のような感じになる。なのでこの空席はちょっとありがたくもあった。
やがてこの空席のテーブルに、「予約・ムカイ様」という紙が置かれた。
人気店である。こういうことも、良くあることだ。そのうちムカイさんが現れることだろう。
「ええっEE:AEB2Fむ、ムカイさんEE:AEB2F」突然ダンナが私の後ろあたりを見て、驚いたように言った。知り合いだったのか??
隣に座ったムカイさんは、デーブ・スペクター似の外国人だったのだ。ダンナは「ムカイさんEE:AEB2F」と無遠慮に連呼している。そしてムカイさんはそれに「ハイ、ムカイです。」と笑って答えた。
ムカイらしからぬムカイの登場に、おかしなテンションになってしまった。
こんな迎え方をして放置するのも何だか変だし、フレンドリーな方だったのでちょっとばかりお話ししたのだ。
彼は、ロシア人を祖父に持つイラン人とのことだ。見た目はデーブ・スペクターだが。
このお店には、良く来るそうである。
ここの大きなテーブル席は相席が常となっているので、このように他人同士のコミュニケーションが生まれやすい席となっていた。
私達も何度も知らない人と飲んだことがあるが、こちらから話しかけたのは初めてである。
しかし、ちょうどお酒もつまみもいいタイミングでなくなったので、そろそろ出ようと言っていたところだったのだ。
ガッツリ食いついておいて申し訳ないが、すぐにお別れとなった。またいつかお会いできたら、と言って席を立った。
私の後には、どんな人が座ったのだろうか。
隣のムカイさんとは仲良くなれたのかな??