人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ムカイさん

久しぶりに、お店で飲んでいたのだ。

オープンと同時に満席になる人気店だったが、やはりコロナの影響か、少しばかり空席が残っていた。

私の隣も然り。

大きなテーブル席なので、相席のような感じになる。なのでこの空席はちょっとありがたくもあった。

やがてこの空席のテーブルに、「予約・ムカイ様」という紙が置かれた。

人気店である。こういうことも、良くあることだ。そのうちムカイさんが現れることだろう。

「ええっEE:AEB2Fむ、ムカイさんEE:AEB2F」突然ダンナが私の後ろあたりを見て、驚いたように言った。知り合いだったのか??

隣に座ったムカイさんは、デーブ・スペクター似の外国人だったのだ。ダンナは「ムカイさんEE:AEB2F」と無遠慮に連呼している。そしてムカイさんはそれに「ハイ、ムカイです。」と笑って答えた。

ムカイらしからぬムカイの登場に、おかしなテンションになってしまった。

こんな迎え方をして放置するのも何だか変だし、フレンドリーな方だったのでちょっとばかりお話ししたのだ。

彼は、ロシア人を祖父に持つイラン人とのことだ。見た目はデーブ・スペクターだが。

このお店には、良く来るそうである。

ここの大きなテーブル席は相席が常となっているので、このように他人同士のコミュニケーションが生まれやすい席となっていた。

私達も何度も知らない人と飲んだことがあるが、こちらから話しかけたのは初めてである。

しかし、ちょうどお酒もつまみもいいタイミングでなくなったので、そろそろ出ようと言っていたところだったのだ。

ガッツリ食いついておいて申し訳ないが、すぐにお別れとなった。またいつかお会いできたら、と言って席を立った。

私の後には、どんな人が座ったのだろうか。

隣のムカイさんとは仲良くなれたのかな??