しょうもない顛末だが、このままでは中途半端なのでその後を書き留めておきたい。
ライブで無くした楽譜のその後である。
これまでも色んなものを壊したり無くしたりしてきたが、これはダメージが大きかった。
お金で解決しないのである。
まぁ手間で解決するのが救いという言い方もあるが、その手間を担うのは私で、その手間がいか程のものなのかは良く分かっているのだ。
その手間が背後にいつも貼りついているようで、何をしても気が休まらなかった。
覚悟を決めようにも、なまじっか希望があるだけに決めきらない。
結果は水曜日の夜だ。
ライブハウスは水曜日まで開かないので、マスターが水曜日に探して電話をくれることになっていたのだ。
緊張が最も高まったのは、水曜の夜である。
とは言え、楽観している部分もあった。
なくなりようがないのである。
手書きの楽譜だ。そんなものを必要としているのは私だけで、間違えたり欲しがられたりするような類ではないのである。私の手元にないのだから、忘れて来たとしか考えられない。
それだけに、まさかのなかったことを考えると恐ろしかったが、いやそんなはずはないと言いきかせていた。
電話は夜の8時頃、かかってきた。
「あのな・・・、」
関西なまりのマスターの声が、心なしか困惑しているように感じる。
「ピアノの周りとか受付のところとかも探したんだけどな、・・・。」
こう来たらこの後どういう言葉が続くかは、もう誰にでも想像できるだろう。
起こるはずのない、まさかであった。
電話を切ると、どうにもやりきれない気持ちになった。くそ、酒だ。今夜は飲むぞ。
ダメもとで、バンド仲間の荷物に紛れ込んでないか、バンドLINEで聞くだけ聞こう。
情けない作業だ。文字の入力もダルい。
全文入力して送信する前に、一応もう一度自分の荷物を確認することにした。こんな恥ラインを送った後に「出てきました」じゃ恥の連打である。
バッグはすでに中身を全部出してしまってあるので、探すのはキーボードケースしかない。
横のポケットには譜面立てとアダプター、ペダルにシールド。
中を開ければ本体と、プラ板2枚。なんでプラ板かというと、楽譜が飛んで行かないように貼り付けるためである。
この、プラ板に、まるで、一体化するように、クリアファイルが貼りついていた。あざとくも倒置法になりますが、楽譜が入った←。
見つかったことは喜ばしいが、こんなんでは手放しで喜べないEE:AE5B1
たった今、マスターが手を尽くして探してくれたばかりである。
ダンナには、「だからちゃんとしまっとけと言ったのに」と心底呆れられていた(当日何度も「楽譜はどうした」「楽譜しまって」と言われていたのだ)。
これならいっそ、このまま見つからない方がまだ収まりが良かった。ダンナはさらに呆れることだろう。気が重い。
それでも、もう一度あれをコピーしなくて済んだのだ。これはこれでハッピーエンドではないか。
戒めか。
いやいや、ちゃんと持って帰ってたんだから、何も落ち度はないじゃないか。
今度は「ちゃんと探しなさい」と怒られるようになるのだろうがEE:AE4E6