人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

最上級の行方

しょうもない顛末だが、このままでは中途半端なのでその後を書き留めておきたい。

ライブで無くした楽譜のその後である。

 

これまでも色んなものを壊したり無くしたりしてきたが、これはダメージが大きかった。

お金で解決しないのである。

まぁ手間で解決するのが救いという言い方もあるが、その手間を担うのは私で、その手間がいか程のものなのかは良く分かっているのだ。

その手間が背後にいつも貼りついているようで、何をしても気が休まらなかった。

覚悟を決めようにも、なまじっか希望があるだけに決めきらない。

結果は水曜日の夜だ。

ライブハウスは水曜日まで開かないので、マスターが水曜日に探して電話をくれることになっていたのだ。

緊張が最も高まったのは、水曜の夜である。

 

とは言え、楽観している部分もあった。

なくなりようがないのである。

手書きの楽譜だ。そんなものを必要としているのは私だけで、間違えたり欲しがられたりするような類ではないのである。私の手元にないのだから、忘れて来たとしか考えられない。

それだけに、まさかのなかったことを考えると恐ろしかったが、いやそんなはずはないと言いきかせていた。

 

電話は夜の8時頃、かかってきた。

「あのな・・・、」

関西なまりのマスターの声が、心なしか困惑しているように感じる。

「ピアノの周りとか受付のところとかも探したんだけどな、・・・。」

こう来たらこの後どういう言葉が続くかは、もう誰にでも想像できるだろう。

起こるはずのない、まさかであった。

電話を切ると、どうにもやりきれない気持ちになった。くそ、酒だ。今夜は飲むぞ。

ダメもとで、バンド仲間の荷物に紛れ込んでないか、バンドLINEで聞くだけ聞こう。

情けない作業だ。文字の入力もダルい。

全文入力して送信する前に、一応もう一度自分の荷物を確認することにした。こんな恥ラインを送った後に「出てきました」じゃ恥の連打である。

 

バッグはすでに中身を全部出してしまってあるので、探すのはキーボードケースしかない。

横のポケットには譜面立てとアダプター、ペダルにシールド。

中を開ければ本体と、プラ板2枚。なんでプラ板かというと、楽譜が飛んで行かないように貼り付けるためである。

この、プラ板に、まるで、一体化するように、クリアファイルが貼りついていた。あざとくも倒置法になりますが、楽譜が入った←。

 

見つかったことは喜ばしいが、こんなんでは手放しで喜べないEE:AE5B1

たった今、マスターが手を尽くして探してくれたばかりである。

ダンナには、「だからちゃんとしまっとけと言ったのに」と心底呆れられていた(当日何度も「楽譜はどうした」「楽譜しまって」と言われていたのだ)。

これならいっそ、このまま見つからない方がまだ収まりが良かった。ダンナはさらに呆れることだろう。気が重い。

 

それでも、もう一度あれをコピーしなくて済んだのだ。これはこれでハッピーエンドではないか。

戒めか。

いやいや、ちゃんと持って帰ってたんだから、何も落ち度はないじゃないか。

今度は「ちゃんと探しなさい」と怒られるようになるのだろうがEE:AE4E6