なぜなのか(笑)
うちの父は、まるで洒落っけのない昭和のオヤジだ。
デロデロに伸びたステテコ姿でウロウロし、大イビキをかいて眠り、大声で喋るのでひんしゅくを買う。デリカシーがなく、品もない。清潔感もない。
しかしなぜか、「食」に関してだけは、洒落たこだわりがあるのだ。
料理が好きで、どこかで美味しかったものなど食べて来るとそれの再現をする。
レシピを見て作ることはなく、「ちょっとこれをこうしてみた」という創作が多い。
それは主にイタリアンテイストなもので、グリーンサラダにくるみとチーズの切ったものをまぜ、味付けはポン酢にオリーブオイル。
くじらの刺身のカルパッチョ。
ベランダで育てている花を添えてみたり、こだわりのお皿に盛りつけたり。
必ずちょっと美味しいパンを出し、最後にコーヒーなんぞ用意したりする。
これはお洒落などの方面から来ているのではなく、食いしん坊であるからに他ならない。
不思議なギャップだ。
この労力を少しばかり身の回りのことに使えたら良かろうに。
こんな父は、いつも別れ際に手土産を持たせてくれるのだ。
なぜかいつも、パンとチーズ(笑)
パンはとにかくチーズは大きな塊で、どうやって食べたらいいのかが分からない。
そんなんで冷蔵庫には、賞味期限の切れたチーズの塊がたくさん入っている状態であった。
ここまでリミットを過ぎてしまったらもう、1ヶ月も2ヶ月も変わらんばい。
処遇に困ってしまい、逃げ、それは動かぬまま冷蔵庫を定位置としてしまっていた。
いつかは向かい合わねば、これを全部捨てることになってまうだろう。というか、もはやその時期に来ているのかもしれない。
そう思うとなおさら向かい合えず、ついに半年を過ぎてしまった。
とうとう意を決して、開封したのである。
真空パックだったのが幸いしたか、匂いに異常はない。これはイケるかも。
その晩は、パスタにした。
ソースにもいくらか混ぜておいたが、食べる直前にすりおろして載せる。
おおEE:AEAABチーズの香りが広がる。
いや~~~~~~、絶品ですわEE:AEB64
口の中で溶けるチーズ。深いコク。賞味期限知ったことか。
それからやたらと削りチーズをかけているが、これを知ってしまったらクラフトの粉チーズなどやってられんぞ。
ちょっとお高いが、そのぶん量はたっぷり、日持ちはするし(させるのである)、なにしろこの旨み。
ナイフで切り落としながらクラッカーと食べるも良し。
そのまま食べるなら赤ワインでいくが良し。
超絶オススメだ。
ぜひお試しあれ。
ある日の父の食卓。この後にさらにメインが現れるのだ。
まず油で曇ったコップを洗うのが、私と兄の仕事である(笑)