娘ぶー子が家を出てからもう久しいが、部屋はまだほぼ、そのままの状態になっていた。
この風景は、このままでは変わることはないだろう。
感傷に浸っている場合ではない。
これらぶー子の私物を片づければ、そこは新たな収納スペースとなるのだ。
現状では、持ち主本人すら忘れているトランクルームである。
いらないものといるものを分けてもらい、然るべき行き先へ向かってもらおうじゃないか。
「じゃあ、昼に行くよー。」
近くに住んでいるとはいえ、早い。
そして、「選別」も早かった・・・。
コレクションと言っても良かった本棚のマンガは、1種類を除いて「全部いらない」。
CDは、「フォールアウトボーイ」だけ残した。
逆に、残ったものから私が欲しいものを選別する羽目である。
収納ラックからが、壮絶な戦いとなった。
ぶー子は棚の中のものをほとんど見もせず、ガシガシ掴んでゴミ袋に突っ込んでいく。
「ちょ、ちょっと待って、それまだ使え・・・、」
「もう忘れてたんだから、いらないんだよ!捨て!捨て!」
「これまだ開けてないやつじゃん!」
「いらんいらん!」
そういった「もったいない」を、私がゴミ袋から救い出していくのである(笑)
絶対に中は見ないで、と言っていたノート類も、見ないで「捨て群」へ行った。
中には綺麗なノートもあったので、それは使ったページだけ破ってもらい、救出した(笑)
「ああ、これ。じいちゃんからお土産で貰ったやつだ。」
スプーンである。使うためというよりも、飾るための。装飾が施され、ケースに入っている。
ポイッ。
「ええっEE:AEB2Fじいちゃんの・・・EE:AEACB」
「いいのいいの、もう十分置いておいたから。役目はおしまい。」
もうすぐ死ぬんだぜ、哀れじゃないか。救出。しかし私も処遇には困るだろう。
彫刻刀と雲形定規。
いらんのは分かっていたが、いる人がいるかもしれないEE:AE5B1
あぁもう、いるものといらないものの境界線が分からなくなってきた。
最後に「いらねー。」と言って写真の束を手に取ったので、「それは私がいるからEE:AE5B1」と言って奪い取った。
懐かしいぶー子の顔である。こういうものは、本人よりも親の方が手放せないものなのかもしれない。
全てが終わるとぶー子は、「こんまり」という人の話をした。片づけ術で有名になっているらしいが、「もったいないんじゃなくて、『ときめきをありがとう』ってお別れするんだよ。今使わないものなんて、どうせすぐに忘れちゃうんだしさ。」
それができりゃ、とっくに家の中は片付いてるわぃ。
本当に胸が痛む作業だったが、それが不思議なことに、私の「お別れボーダー」に少しばかり変化があったことに気がついた。
あそこまで大胆にバンバンは無理だけど、何だか今なら少し手放せそうな気がしてきたぞ。
確かに、置いてあったって「それだけ」である。今使わないものを、いつか使うのか。
いやいや、だから「使ってくれる人」を探そうと・・・、それがもちろん理想だが、そうして寝かせているうちに劣化しているものもたくさんあるじゃないか。
ぶー子の大量の不燃ごみは、たまたま今日が回収日だったのですぐに出すことができた。
・・・・・・・・。
まだ綺麗なクリアファイルと、未使用のルーズリーフ。
「これで最後。」とそれだけ取り出すと、破れて袋から飛び出したゲームソフトも拾う。
もうダメだ、見ちゃいかんEE:AE5B1
次は私の番だ。
春。
別れの季節である。
奇跡の生還を果たした(新たに背負い込んだ)物たち。
絵は、ぶー子が昔描いたもの。切り抜きと絵葉書はファイナルファンタジー(笑)ルーズリーフはたくさん残っていた。おりがみどうしようEE:AEB64
まだある(笑)使えそうなものが、捨てられん。
こういうのに弱いのだ。3センチ×3センチほどの小さいもの。