昨夜11時半頃、とうとうラッキーは旅立って行った。
呼吸の荒いまま夜を迎え、11時前にむせるように咳き込み、これが落ち着いたところで隣で寝ることにしたのだ。
下手に触れると、ビクビクッと電気が走るような発作が起きるようになっていた。もう部屋を移動して一緒に寝るのは難しい。
コタツに横になり、背もたれを倒し、ラッキーと向かい合う。
凄く眠かった。
深く眠ってしまったら、異変に気付けないかもしれない。
痙攣発作が起きたら分かるよう、ラッキーの体の上に鈴を置いておいた。
横になり、いよいよダメだもう眠い、と、目を開けてラッキーの様子を見ると、顔をのけぞらせていたので驚いて飛び起きた。
もうずっと、顔も体も同じ姿勢で変わらず一日過ごしていたのだ。突然の変化である。
顔を見たところ苦しそうではなかったが、表情が変わっていた。見開いた眼は、どこをも見ていない。意識がなくなっている。
1、2分置きに咳き込むようにしゃくりあげる他は、ただグッタリと伸びているだけだった。
表情はなく、小さく首がユラユラ動いていた。
私達はありったけの思いを、ラッキーに伝え続ける。
荒かった呼吸はいつの間にとても微弱になっていて、心音も体に耳をつけて聞いてやっと分かるぐらいになっていた。
そして、本当に少しずつゆっくりと、静かに、いつの間に、ラッキーは離れていったのだった。
好きだったブラッシングをしてもらっている間に、逝ったようだ。
その時が分からなかったほど、静かな旅立ちであった。
眠るようにとはいかなかったが、苦しかっただろうが、最後には意識もなく消えるように逝ったのだ。
それが救いである。
今ラッキーは、安らかな眠りについている。
不思議なことに、バサバサでゴワゴワだった毛はツヤツヤで柔らかく、表情は子猫のようにあどけない。
まるで寝ているように、安らかだ。
このところずっとずっと、目を閉じることがなかったのだ。やっと眠れるだろう。
ずいぶん長い間、戦ってくれた。
11月20日に異変に気付いて入院。
絶食から10日。
水を飲めなくなって2日ぐらいか。
思っていたよりもずっと長く、そばにいてくれた。
ラッキー、本当にお疲れ様でした。
長い間、ありがとう。
永遠に、愛してるよ。
もうすぐ19歳であった。