スマホにメモのアプリを入れてあるのだが、これが結構使えるので重宝している。
読みたい本、行きたいお店、行きたい場所、観たい映画、保存したい曲。
こういうものは、思いついたままにしておくとどんどん忘れていってしまうものだ。
それらを取り逃がさないために、思いついたらまずメモにすることにしたのだ。
しかし実行されるものは、非常に少ない。
なぜなら自由になる時間、自由になるお金には限りがあり、その多くは使い道が決まっているからである。
そんな中で、比較的叶いやすい項目がある。
「作りたいもの」だ。
プラモデルや日曜大工ではない。食べるもの、限定。
外で食べて作ってみたくなったもの、ダンナが食べたがったもの、挑戦してみたいものなど、難易度は様々だ。どの環境にも対応できる。いつだって、やろうと思えば何かしら叶うのである。
ところがどうも、メモにしたところがゴールになっているのが現状だ。増える一方で、全く口に入ることがない。
そんな時に、向こうの方から材料がやってきたのである。迷わず作ることにした。
ハンバーガーだ。
近所ではバーガーバンズを売っているところがなく、もうすっかりその存在を忘れていた。
それがたまたま「現品限り」といって売っていたので、買って来たのだ。
ただのハンバーガーなら、作ったことはあるにはある。
しかし私が作りたいのはそれではない。
佐世保バーガーばりのどでかいヤツを作りたかったのだ。
難しくはない。挟むだけだ。
挟むものは、ハンバーグ、レタス、トマト、玉ねぎのソテー、目玉焼き、チーズ、ピクルス。
ベーコンも入れたかったが、さすがにカロリー過多なので止めておいた。
買い物先で見たひき肉は、どれも白っぽくていかにも脂が多そうなものであった。
いい色をしているのは高く、買う気になれない。
なので、3個300円の出来合いを買ってしまった。
これとて、正体は分からない。「溶けるので煮込まないでください」などと書いてあるあたり、純粋な赤身部分の割合はいかほどなのかと思わせる。
しかし、ちゃんとしたのを作ろうと思うと高い、どうせ安くて脂っぺーなら、出来上がってる方が手間がなくていい。
買って帰ったハンバーグは、かなり大きくて厚みのあるものだった。
野菜を切り、玉ねぎをソテーし、目玉焼きを両面焼く。
チーズをのせてパンを焼き、具材を挟んでいく。
味付けはケチャップと、パンに塗ったマヨネーズ、マスタード。目玉焼きに塩。
何となく、願っていたようなものができたような気がする。
高さがあるので、手をはなすと倒れてしまう。
片手で皿を持ち、片手でハンバーガーの頭を押さえ、ダンナに渡す。ダンナはドン引きだ。
「ちょっとこれ、どうやって・・・EE:AE5B1」そこまでは私の関知することではない。あなたの力で頑張ってください。
ダンナはまずハンバーガーをギュッと潰してから、決心したようにかぶりついた。
フガフガいう口元から、ソースやら肉やらはみ出してくる。
それを落とすまいと、今度は回転させてそこに噛みついていく。
トマト水分がしたたり落ちる。
バンズが大きくずれていく。
阿鼻叫喚の世界だ。
ダンナは口の周りを汚しながら、手を離すこともできない。
このハンバーガーを、お見合いの席に出したらどんなことになるだろうか。ふとそんなことを考えた。
そして、私の番もやってくる。
ギュッと潰してはみたが、どう考えても口に入る大きさではない。
いや、気が引けては負ける。
私は思い切って大口を開けて、食らいついた。
あとは同上だ。
バラバラになってしまうので、食べ終わるまで手を離すことができない。
一度扉を開いたら、エンディングまでノンストップである。
このボリュームだ。食べている途中で満腹になるという現象に驚いた。
もうこれきりでいいEE:AE4E6
外でも大きなハンバーガーが食べたいと思っていたが、それももういい、色んなことが分かった(笑)
しかし後悔はない。むしろ達成感でいっぱいだ。
さらば、でっかいハンバーガー。もう二度と会うことはないだろう。
誰かに食べさせたい気はするが(笑)