人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

叶う先には別れがある。

スマホにメモのアプリを入れてあるのだが、これが結構使えるので重宝している。

読みたい本、行きたいお店、行きたい場所、観たい映画、保存したい曲。

こういうものは、思いついたままにしておくとどんどん忘れていってしまうものだ。

それらを取り逃がさないために、思いついたらまずメモにすることにしたのだ。

しかし実行されるものは、非常に少ない。

なぜなら自由になる時間、自由になるお金には限りがあり、その多くは使い道が決まっているからである。

そんな中で、比較的叶いやすい項目がある。

「作りたいもの」だ。

プラモデルや日曜大工ではない。食べるもの、限定。

外で食べて作ってみたくなったもの、ダンナが食べたがったもの、挑戦してみたいものなど、難易度は様々だ。どの環境にも対応できる。いつだって、やろうと思えば何かしら叶うのである。

ところがどうも、メモにしたところがゴールになっているのが現状だ。増える一方で、全く口に入ることがない。

そんな時に、向こうの方から材料がやってきたのである。迷わず作ることにした。

ハンバーガーだ。

近所ではバーガーバンズを売っているところがなく、もうすっかりその存在を忘れていた。

それがたまたま「現品限り」といって売っていたので、買って来たのだ。

ただのハンバーガーなら、作ったことはあるにはある。

しかし私が作りたいのはそれではない。

佐世保バーガーばりのどでかいヤツを作りたかったのだ。

難しくはない。挟むだけだ。

挟むものは、ハンバーグ、レタス、トマト、玉ねぎのソテー、目玉焼き、チーズ、ピクルス。

ベーコンも入れたかったが、さすがにカロリー過多なので止めておいた。

買い物先で見たひき肉は、どれも白っぽくていかにも脂が多そうなものであった。

いい色をしているのは高く、買う気になれない。

なので、3個300円の出来合いを買ってしまった。

これとて、正体は分からない。「溶けるので煮込まないでください」などと書いてあるあたり、純粋な赤身部分の割合はいかほどなのかと思わせる。

しかし、ちゃんとしたのを作ろうと思うと高い、どうせ安くて脂っぺーなら、出来上がってる方が手間がなくていい。

買って帰ったハンバーグは、かなり大きくて厚みのあるものだった。

野菜を切り、玉ねぎをソテーし、目玉焼きを両面焼く。

チーズをのせてパンを焼き、具材を挟んでいく。

味付けはケチャップと、パンに塗ったマヨネーズ、マスタード。目玉焼きに塩。

何となく、願っていたようなものができたような気がする。

高さがあるので、手をはなすと倒れてしまう。

片手で皿を持ち、片手でハンバーガーの頭を押さえ、ダンナに渡す。ダンナはドン引きだ。

「ちょっとこれ、どうやって・・・EE:AE5B1」そこまでは私の関知することではない。あなたの力で頑張ってください。

ダンナはまずハンバーガーをギュッと潰してから、決心したようにかぶりついた。

フガフガいう口元から、ソースやら肉やらはみ出してくる。

それを落とすまいと、今度は回転させてそこに噛みついていく。

トマト水分がしたたり落ちる。

バンズが大きくずれていく。

阿鼻叫喚の世界だ。

ダンナは口の周りを汚しながら、手を離すこともできない。

このハンバーガーを、お見合いの席に出したらどんなことになるだろうか。ふとそんなことを考えた。

そして、私の番もやってくる。

ギュッと潰してはみたが、どう考えても口に入る大きさではない。

いや、気が引けては負ける。

私は思い切って大口を開けて、食らいついた。

あとは同上だ。

バラバラになってしまうので、食べ終わるまで手を離すことができない。

一度扉を開いたら、エンディングまでノンストップである。

このボリュームだ。食べている途中で満腹になるという現象に驚いた。

もうこれきりでいいEE:AE4E6

外でも大きなハンバーガーが食べたいと思っていたが、それももういい、色んなことが分かった(笑)

しかし後悔はない。むしろ達成感でいっぱいだ。

さらば、でっかいハンバーガー。もう二度と会うことはないだろう。

誰かに食べさせたい気はするが(笑)