「みかん」は、楊貴妃という種類のオレンジ色のメダカだった。
鮮やかな色がとても美しく、その名に恥じぬ優雅なメダカだ。
一月にショップで5匹買ったうちの一匹だった。
ショップで買った子はどの子も大きくとても元気で、安心して見ていられた。
やはり祭りのメダカすくいなどというところだと、小さかったり弱かったりするのかもしれない。
2週間もすればどれかが弱り、次々死んで私もかなり消耗した。
昨日、みかんは死んでいた。
思い返せば、予兆はあったのだ。
ちょっと、ほんとにちょっとだけ、元気がないように感じたのだ。
それが「ちょっとだけ」だったために、油断した。
あそこで決断して、塩浴でもさせていたら違った結果になったかもしれない。
みかんはお腹を横にして、水面に浮いていた。
優雅に泳いでいたみかんは、ただの物体になってしまった。
本当に、辛いことだ。
今日になり、ご飯をあげていて気がついた。
ミナミヌマエビのお腹に、黒い粒々がびっしり詰まっている。
こ、これ、甘エビの卵にそっくりEE:AEB30
果たしてそれは、本当に卵だった。
2階で日当たりが良く、室内は結構暖かい。
エビの産卵は春からとのことだが、水温が上がり、水槽に春が来てしまったのかもしれない。
嬉しいけど、これちゃんと育てられるかしらEE:AEB64
まだ数週間はかかるようなので、その間に隔離する環境を整えることにする。
みかん、ごめんね、さようなら。
そして新しい命をありがとう。