ある時、ふと気がついた。
その出現は、徐々にではない。ある日突然であったはずだ。
気がついたら、ロールスクリーンにシミができていたのだ。
上の方に、大小2ヶ所。
私は頭をひねった。
ロールスクリーンに、シミである。
一体何がどうやって付いた?
大きな謎だったが、何しろ「シミ」である。
害がある訳ではない。
そのうち気にならなくなってしまったのだ。
ある朝。
「・・・これ、何?」
今度はダンナが気がついた。
「そうなの、いつからか付いてるんだけど、不思議だよね、そんなところにさ。」
まぁダンナもそのうち忘れるだろう。
何しろ相手はシミなのだ。害がない。
「・・・何かこれ、動いてるけど・・・。」
えっEE:AEB64
休日の朝である。
私は前夜の飲み過ぎのせいで、二日酔いであった。
寝たままそちらを見ると、そのシミは、私が見つけた時よりも大きく、薄くなっているように見えた。
しかし、動いているようには見えない。
「動いてるって!?虫か何かなの?!それ!?」
「うん、凄く細くて小さいのがウジャウジャ動いてる。キモい。」
そりゃキモいわEE:AEB64
見たところ、シミの範囲はまだそう広がってはいない。
このままにしておいたら、この細くて小さくキモい生物が、この寝室に放たれてしまう。
部屋には前日のカサコソ騒ぎの時に持って来た殺虫剤があった。
お願いします。
シュー、と言って、全て終わった。
体長1、2ミリの幼虫にゴキジェットだ。やり過ぎなぐらいだ。
気持ち悪いので私はしばらく見なかったのだが、その後見てみると、虫かどうかも分からないほど小さなイトミミズ状の集団が、そこで時間を止めていた。
一体あれは、何だったんだろう。
誰かが卵を産み付けて孵化したということだろうが、あれが部屋に放たれて成長したとしたら、私は誰と何匹対峙することになったのだろうか。
考えただけで、鳥肌が立つ。
「この部屋には、何かある。」
霊も宇宙人も信じないダンナが、言った。