人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

何かがいる・2

ある時、ふと気がついた。

その出現は、徐々にではない。ある日突然であったはずだ。

気がついたら、ロールスクリーンにシミができていたのだ。

上の方に、大小2ヶ所。

私は頭をひねった。

ロールスクリーンに、シミである。

一体何がどうやって付いた?

大きな謎だったが、何しろ「シミ」である。

害がある訳ではない。

そのうち気にならなくなってしまったのだ。

ある朝。

「・・・これ、何?」

今度はダンナが気がついた。

「そうなの、いつからか付いてるんだけど、不思議だよね、そんなところにさ。」

まぁダンナもそのうち忘れるだろう。

何しろ相手はシミなのだ。害がない。

「・・・何かこれ、動いてるけど・・・。」

えっEE:AEB64

休日の朝である。

私は前夜の飲み過ぎのせいで、二日酔いであった。

寝たままそちらを見ると、そのシミは、私が見つけた時よりも大きく、薄くなっているように見えた。

しかし、動いているようには見えない。

「動いてるって!?虫か何かなの?!それ!?」

「うん、凄く細くて小さいのがウジャウジャ動いてる。キモい。」

そりゃキモいわEE:AEB64

見たところ、シミの範囲はまだそう広がってはいない。

このままにしておいたら、この細くて小さくキモい生物が、この寝室に放たれてしまう。

部屋には前日のカサコソ騒ぎの時に持って来た殺虫剤があった。

お願いします。

シュー、と言って、全て終わった。

体長1、2ミリの幼虫にゴキジェットだ。やり過ぎなぐらいだ。

気持ち悪いので私はしばらく見なかったのだが、その後見てみると、虫かどうかも分からないほど小さなイトミミズ状の集団が、そこで時間を止めていた。

一体あれは、何だったんだろう。

誰かが卵を産み付けて孵化したということだろうが、あれが部屋に放たれて成長したとしたら、私は誰と何匹対峙することになったのだろうか。

考えただけで、鳥肌が立つ。

「この部屋には、何かある。」

霊も宇宙人も信じないダンナが、言った。